現在、国立新美術館ではイギリスを代表する現代作家であるダミアン・ハーストの最新作である〈桜〉のシリーズを展示する「ダミアン・ハースト 桜」が開催されています。
2021年にパリのカルティエ現代美術財団で「ダミアン・ハースト 桜」展を実施したハーストですが、今回は本展覧会のために、107点から成る〈桜〉のシリーズから作家自身が24点の大型絵画を選定。桜が咲き乱れる展示空間を作り上げました。
30年以上にわたるキャリアの中で、絵画、彫刻、インスタレーションと様々な手法を用い、芸術、宗教、科学、そして生や死といったテーマを深く考察してきたハースト。
〈桜〉のシリーズについて「美と生と死についての作品なんだ。(中略)〈桜〉はけばけばしく、とっ散らかっていて、儚い。そして、私がミニマリズムや想像上の機械仕掛けの画家であるというイメージから離れたことを示していて、とてもわくわくするものなんだ」とコメントを寄せています。
桜の花を表現するエネルギー溢れる絵具の塊は、絵具を付けた筆をキャンバスに押し付けるほか、絵具をキャンバスに向かって投げつけて描いています。作品に近寄ると、絵具による凹凸を見ることができました。
展覧会のタイトル通り、作品はすべて桜をテーマに描かれていますが、1つとして同じものはなく、タイトルも「山桜」「早咲きの桜」、三連画の「生命の桜」とさまざまな桜が咲いています。大きいものでは縦5メートル、横7メートルを超える「この桜より大きな愛はない」も。天井高約8mものこの会場で作品の真下に立てば、まるで本物の桜を見上げるように、作品を鑑賞することができます。
会場、および公式サイト(https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/damienhirst/)では、約25分間にもおよぶHENI、ダミアン・ハースト、カルティエ現代美術財団によるドキュメンタリー・フィルムが公開中。氏が桜を描こうと思ったきっかけ、若い頃のアートへの葛藤などが余すところなく語られていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
「夢中で描いた絵だ。観客にも浸って欲しい」と語るハースト氏。会場では、それぞれが近づいて、遠のいて...立って、座って、歩きながら...など、思い思いに作品に浸っていました。新型コロナウィルス感染症の流行によって、しばらくお花見ができていない方も多いはず。国立新美術館に、アートと春を感じにきてみてはいかがでしょうか。
編集部 高橋
ダミアン・ハースト 桜
会場:国立新美術館 企画展示室2E
会期:2022年3月2日(水)~5月23日(月)
時間:10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日 ※ただし5月3日(火・祝)は開館
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/damienhirst/