現在TOTOギャラリー・間では、妹島和世と西沢立衛が日本および世界各地で取り組んでいる最新プロジェクトを中心に紹介する「妹島和世+西沢立衛/SANAA展 環境と建築」が開催されています。
「環境と建築」というテーマに長年取り組んできた妹島と西沢の建築ユニット・SANAA。建物が媒介となり、人びとの暮らしと環境が織り混ざりひとつの風景となる、そんな建築のあり方を実現し、プリツカー賞(2010年)など数多くの賞を受賞しています。
実はTOTOギャラリー・間での展示は今回が3回目。1993年に妹島氏のプロジェクトが、2003年にはSANAAの作品が展示されました。今回の展覧会会場には15の建築作品とプロダクトデザイン1点、この展覧会に合わせて制作された作品集の書籍見本が並びます。
3Fには、風景や地形と建築との関係を知ることができる展示が。「建築はもちろん、地形も1つの作品として考えています」という西沢氏の言葉を、実物を見ながら学ぶことができました。
例えば、南米チリの週末住宅の全体模型では、周りの強い潮風や陸地側の厳しく荒々しい自然のパワーに見合うものとして、主要構造部をコンクリート造りに。また、建物は岬の突端に立っていますが、細長い岬の地形に合わせて、有機的な連続アーチ屋根が反復しています。映像もあるため、さらにイメージの解像度が上がりました。
4Fでは柱や梁など、建築にさらに寄ったディテールの部分がメインになっています。妹島氏は「どういう部分を自分たちが気にして作り上げているのかを感じていただければ幸いです」と見どころを明かしています。
こちらは24年度に開館予定の「新香川県立体育館」のスタディ模型。高松駅や港に近いこの敷地には、県民に親しまれる公園を中心に多目的広場が広がるそうですが、この既存の広場を囲むように瀬戸内海に浮かぶ小島を連想させる屋根を設置。高松駅、広場、体育館、公園港、そして瀬戸内までが穏やかにつながって1つの大きな公共公園になることを目指しているとのこと。3階にはこの屋根形状のスタディ模型があるので、合わせて見ればさらに立体的な構想が頭の中に広がります。
模型の配置、高さにもこだわった本展では様々な模型を通してSANAAの現在の到達点と未来を展望することができました。公式サイトでは、「建築のすそ野を広げたい」という想いで設立された編集事務所Office Bungaの磯達雄氏による「SANAA展をより深く楽しむためのガイド」が公開されています。合わせて読んでみてはいかがでしょうか?
編集部 高橋
妹島和世+西沢立衛/SANAA展 「環境と建築」
会場:TOTOギャラリー・間
会期:2021年10月22日(金)~2022年3月20日(日)※事前予約制
開催時間:11:00~18:00
休館日:月曜・祝日
※状況により、会期や内容等を変更する場合がございます
入場料:無料
公式サイト:(URLをクリックすると外部サイトへ移動します)
https://jp.toto.com/company/press/2021/06/02_011335.htm