現在、東京シティビューでは、サンリオの歴史を辿ると同時に、日本が産んだカワイイ文化の成り立ちや、発展についてをサンリオの目線で掘り下げていく「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」が開催されています。
エントランス展示には、増田セバスチャンが本展のために制作した、高さ約8mものシンボリックアート「Unforgettable tower」が。こちらには約4,000個以上ものぬいぐるみが使われており、オープニングセレモニーでは増田氏が「名古屋展・大分展と比べると約2倍の高さになってしまい、朝まで準備をしていました。サンリオの歴史を感じていただきながら、ぜひキャラクターを楽しんでください」と、制作の苦労と共に本展の見どころを明かしました。
サンリオのかわいいぬいぐるみたちを積み重ねて作られている本作。六本木未来会議のインタビューでも語っていた「僕にとってKawaiiとは、本質的には物質ではなく思想を指すものです。それはとてもエモーショナルなものであり、言語化するなら、自分の中に小宇宙をつくること」という言葉通り、氏の世界観を超えた"宇宙観"がそのまま形になったような作品でした。
6つのゾーンと10のテーマで構成されている本展。スタートは、「かわいいのはじまり」と題し、サンリオのファンシー文化の秘密を探ります。
現在のようにパソコンがない時代。デザイナーは文字も含めてイメージを手描きで作っていました。2枚目の写真はパティ&ジミーのハンカチ(左)とその元となったデザイン(右)。実は当初、パティは独立したデザインでした。しかし、寂しそうだった女の子にボーイフレンドを作ってあげよう、という発想からジミーが生まれました。このように、サンリオはキャラクターに思いを馳せることで、その世界観を拡げていったのです。
パティ&ジミーに続き、1974年にはハローキティが、そして翌年にはキキ&ララことリトルツインスターズとマイメロディが誕生します。サンリオは、デザインとキャラクターの違いについて「世界的な知名度のハローキティですら、知らない人にとってはただの白い猫のデザインですが、世間に周知されて初めて猫でなくハローキティという"キャラクター"になるのです」と述べています。
多様なキャラクターの登場にともない、たくさんのグッズ販売も行われましたが、売場はただ商品を売るだけの場ではありませんでした。売り場では、人が集い、語り合い、お店で働く人と訪れた人が、直接触れ合いながらギフトを選ぶ、という体験そのものを大事にした空間演出が行われました。会場に遊びに来ていたハローキティも、かわいらしいグッズたちに釘付けです。
見どころの一つにもなっているのが、アートの各分野で活躍するアーティストが、本展のために制作したサンリオとのコラボオリジナル作品。冒頭で紹介した増田氏の作品のほか、深堀隆介氏(オブジェ)、中臣一氏(バンブーアート)、森貴也氏(彫刻)、はしもとみお氏(彫刻)、福井利佐氏(切り絵)らの独自のサンリオアートが楽しめます。
やなせたかし、水森亜土、内藤ルネなど日本を代表するアーティストとサンリオとの関係から、世界的アーティストのレディ・ガガが着用したことで話題を集めた、ハローキティのドレスの再現展示まで、サンリオの魅力を余すことなく体験できる本展。
キャラクターや商品の企画意図や苦労話など、発信側だからこそ明らかにできるコンテンツが盛りだくさんで、新しいアイデアやインスピレーションが溢れる"かわいい"が詰まった展覧会でした。
編集部 高橋
「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」
会場:東京シティビュー
会期:2021年9月17日(金)~2022年1月10日(月)
時間:10:00~20:00(最終入館 19:30)
※当面、時間を短縮して営業いたします。
※情勢によりやむを得ず、営業時間に変更が⽣じる場合や、休業となる可能性もございます。
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.tokyocityview.com/sanrio-museum-ex/