現在21_21 DESIGN SIGHTでは、企画展「ルール?展」が開催されています。本展は、法律家の水野祐、コグニティブデザイナーの菅俊一、キュレーターの田中みゆきの3名が展覧会ディレクターチームとなり、それぞれの視点を融合させて、新しいルールの見方・つくり方・使い方と、これからの展覧会のあり方をともに考えていく展覧会です。
入口にはパンフレットと共に、表紙に押すことのできる何種類ものスタンプが用意されています。スタンプを押すと「きほんてきに えがおで いなければならない」「3びょうかん 目をとじてから 作品をかんしょうしなければならない」など本展で求められる、あなただけのおもしろいルールが加えられます。
私たちは、毎日様々なルールに囲まれながら生活をしています。憲法や法律はもちろん、文化的背景に基づいた規則やマナー、家族や友人の間で無意識に根付く習慣など、ルールは私たちの思考や行動様式を形作っているのではないでしょうか。本展では、日常のさまざまな場面で遭遇するルールの存在と影響を取り上げ、デザインによってどのようにかたちづくることができるのかを、多角的な視点から探っていきます。
「あなたでなければ、誰が?」では、参加者が正面に映し出されたスクリーンの質問に対して、床にある「はい」「いいえ」や「賛成」「反対」のスペースを行き来することで回答していきます。最初は簡単な質問から始まりましたが、徐々に思わず深く考えてしまうような質問に。様々な理由が渦巻く中、結果として表示されるのは答えの割合のみ。多数決が広く普及している民主主義の世の中に疑問を投げかける作品でした。
「四角が行く」(石川将也 + nomena + 中路景暁)はそのタイトル通り、白い立方体が次々と流れてくる穴の開いた青いパネルをくぐり抜けていく作品です。パネルに空いた穴の高さや幅に合わせて、立方体たちは左右にズレたり、起き上がったり、回転したり。これらをルールと解釈に当てはめて鑑賞することにより、その取捨選択やルールの"余白"などについて考えさせられました。
3名のディレクターはぞれぞれ「社会が激変していく中で、本展はとても時代性のあるテーマだと思っています。参加していただくことで完成する展覧会ですので、ぜひ足を運んでいただければ幸いです」(水野)、「僕らの社会を形作っているルールや、多様なアーティストのルールをみなさんに紹介することで、ルールの持つ可能性や創造性を実感していただきたいです」(菅)、「来る方がただ見るだけでなく、会場の外にどう持ち帰ってもらえるのかを考えた、来場者が主役の展覧会になっています」(田中)と語っています。
展覧会を通して、私たちが生きていく社会のルールに対してポジティブに向き変える力や視点を身に着けることのできるあたたかな展覧会でした。
六本木未来会議では水野祐×菅俊一インタビュー『ルールは、クリエイションのジャンプ台になる』を公開中です。ルールをポジティブに捉えることで、暮らしや街はどう変わるのか、目からウロコの"ルール論"が展開されています。ぜひ合わせてご覧ください。
編集部 高橋
「ルール?展」
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
会期:2021年7月2日(金)~11月28日(日) ※事前予約制
時間:平日11:00~17:00(入場は閉館の30分前まで)
土日祝11:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
※一部の展示は、定員入替制の体験型作品です。平日16:00、土日祝17:00以降は、場合により体験できないことがございますのでご注意ください。
休館日:火曜日(11月23日は開館)
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.2121designsight.jp/program/rule/index.html