現在、TOTOギャラリー・間ではスペインとアメリカを拠点に活動を続けるアンサンブル・スタジオの、日本で初めての個展「アンサンブル・スタジオ展 Architecture of The Earth」が開催されています。
地球規模の視点と、自然と響きあうような力強い造形、独自の構法を軸に、建築の可能性を追求するアンサンブル・スタジオ。彼らは単に建物のデザインを行うだけでなく、実験を通して自らの手で考え、建設方法まで考案することにより、他に類を見ない革新的な建築を生み出してきました。
タイトルになっている「Architecture of The Earth」は、地球規模で建築を考える彼らの活動そのものを表しています。本展では「地球」と「建築」の関係性の探究のなかから生まれたプロジェクトに焦点をあて、アンサンブル・スタジオ独自のリサーチ・設計・建設の過程を、模型や映像を通じて紹介しています。
通常であれば展示デザインを出展者に委ねるTOTOギャラリー・間ですが、今回は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、リモートでギャラリーと工房を繋ぎ、その指示を元にスタッフが展示を行いました。
「ランドスケープの構造体」は48㎢の広大な牧草地に広がる「ティペット・ライズ・アート・センター」のために制作された作品。屋外彫刻としての価値のほか、風や雨から身を守るシェルターのほか、この中でコンサートが行われるなど、様々な使われ方をしています。
牧草地にショベルカーで土を掘って穴を空け、そこに鉄筋とコンクリートを流しいれて作ったという、まさに大地を型にした本作。会場には、発泡スチロールに穴を掘り、同じような工程を踏んで作られたミニチュアのプロトタイプが展示されています。他の作品も、このように実際に手を動かすところから作品作りがスタートするのだそうです。
中庭には「ランドスケープの塔」が複数聳え立っています。これらは実際に建っているものではなく、実験的なプロトタイプ。塔は一般的には同じ形のフロアが積み重なってできたものが主流ですが、アンサンブル・スタジオは塔の可能性を探るためにこの作品を制作しました。
4階会場ではアイデアがどのように施工されて、どんな建物になっていったのかを、3面の没入感のあるスクリーンで堪能することができます。右側は冒頭でご紹介した「ランドスケープの構造体」でのコンサートの様子です。
リサーチから始まり、実際に手を動かして行うデザインや施工のプロセスを知ることができる本展。まだ実現していないプロジェクトの数々も、想像が膨らんでとても見ごたえがありました。
8月6日(金)にはアンサンブル・スタジオのアントン・ガルシア・アブリル氏、デボラ・メサ氏と建築家・藤本壮介氏との対談や、館長によるギャラリーツアー動画が配信されます。さらに公式サイトではアンサンブル・スタジオの住宅であり、ラボでもあるメノルカ島の拠点から届いたメッセージ動画が公開中。ぜひ合わせてご覧ください。
編集部 高橋
アンサンブル・スタジオ展 Architecture of The Earth
会場:TOTOギャラリー・間
会期:2021年6月24日(木)~9月12日(日)※事前予約制
開催時間:11:00~18:00
休館日:夏期休暇 [8月9日(月)~16日(月)]
※状況により、会期や内容等を変更する場合がございます
入場料:無料
公式サイト:(URLをクリックすると外部サイトへ移動します)
https://jp.toto.com/company/press/2021/06/02_011335.htm