2021年4月21日(水)、東京ミッドタウン・デザインハブ内に学校法人多摩美術大学(多摩美)による「Tama Art University Bureau」(通称:TUB)が開所しました。本レポートでは、TUBの会見でのコメントと共に、第1回企画展となった「中継地点 TRANSIT POINT」の会場写真をお届けします。
TUBとは、デザインとアートの持つ創造性と美意識を社会とつなぐ場。大学・企業・社会人と多摩美が「まじわる・うみだす・ひらく」ことをコンセプトに、この場が誕生しました。
記者会見には多摩美術大学の青柳正規理事長が登壇。「社会がデザイン&アートに何を欲しているのか、それらをどうやったら社会に貢献できるのかを探る窓口としてこのTUBを設けました」と開所の経緯を語りました。
また、TUBという名前について「この"TUB"には、バスタブのタブ(たらいとや桶の意)や、ギャラリーなどで余分な凹凸や装飾が無い展示空間を指す『ホワイトキューブ』をもじったホワイトチューブの略など色々な意味があります。様々なことを吸引すると同時に、様幅広い多摩美術大学の活動を見ていただければと思います」とコメントを寄せています。
建畠晢学長は、多摩美術大学がキャンパス全体を含めた大規模なリノベーションに取り組んでいることに触れつつ「TUBには、六本木という都心の中の都心における多摩美術大学の発信基地としての役割を期待しております。デザイン&アートの展示だけでなく、シンポジウム、ワークショップなど、ここならではの機能を新たに考え、様々な教育、研究、創造の成果をここで発信していきたいです。
それと同時に、六本木は最も先端的な情報や感覚が満ちているので、そういったものを我々が観察し、あるいは体感し、それを素地にしたものをまた教育、研究、創造に生かしていく。そういった受信作用も果たしていければと考えています」と六本木が持つ特性を交えて、今後の展望を語りました。
会見では、多摩美術大学美術学部 統合デザイン学科 教授である永井一史氏がTUBの位置付けや時代背景を説明し、「先行きの見えない不透明な立場に置かれている変化の時代に、創造性や美意識は社会から求められています」とデザイン&アートの必要性に言及しました。
深澤直人教授(多摩美術大学 統合デザイン学科)が空間デザインを務めるTUBの記念すべき第1回企画展として開催されたのは、7組の作家による作品展「中継地点 TRANSIT POINT」。多摩美を自国からの中継地点として捉え、そこを起点にグローバルで活発な芸術文化の発信を行う、国という枠組みにとらわれない作家の作品が並びました。
こちらは趙文欣(チョウブンキン)氏作の「Don't put a price tag on me」。右側の女性の頬には何枚も重なった値引きのシールが、左側の男性の頬には値札が貼られています。「女性の価値は年齢。男性の価値は年収」という社会に対し疑問を投げかけており、本作は「JAGDA 国際ポスターアワード 2020」グランプリにも選ばれています。
「一日/Un Dia」はコロンビア出身のCamilo Ramirez氏によるもの。日本とコロンビアの文化的な隔たりを解消し、相互理解を深めるために、言葉を使わないイラストレーションメディアによるビジュアルコミュニケーションに行き着いたそうです。
1年365日中、300日は展覧会やアクティビティを行うというTUB。今後の活動が楽しみな施設がまた一つ六本木に増えました。
現在開催中の「タマグラアニメーション・シアター」はWEBでの視聴が可能です。奇抜でポップでさまざまなスタイルがひしめきあうアニメーションの数々。ぜひお楽しみください。
編集部 月島
「タマグラアニメーション・シアター」
会期:2021年5月17日(月)~6月2日(水)
時間:11:00~18:00
入場料:無料
定休日:日曜日
会場:多摩美術大学 TUB(デザインハブ内)
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://tub.tamabi.ac.jp/exhibitions/1101/
多摩美術大学 TUB 第1回企画展「中継地点」
Tama Art University Bureau 1st Exhibition: Transit Point
会期:2021年4月15日(木)~5月5日(水) ※終了しました
会場:多摩美術大学 TUB(デザインハブ内)
時間: 11:00~18:00
入場料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://k.tamabi.ac.jp/activity/kikaku/3335449/