21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では3月21日(日)まで、小松のものづくりの豊かさ・強さを発信する展示会「素材のカタチ」が開催されました。本レポートでは会場の様子をお届けします。
弥生時代の碧玉(へきぎょく)による玉づくりなどの石文化をルーツに、九谷焼や繊維産業、建設機械や産業機械など、幅広いものづくりを行ってきた石川県小松市。
本展示は"新しい生活様式において、100年先でも愛される小松のものづくりとは何か"という問いに対し、「作家自身による制作」「料理人との共創」「美大生との共創」の3方向のアプローチで生み出した作品群で構成されています。
こちらは、蓮の蕾をイメージした「Memorial box」(宮本雅夫)。コロナ禍における手元供養に着想を得た作品です。そっと両手で包みたくなるような形とサイズは、オブジェとしても部屋に馴染みます。緻密な線描と光沢のある久谷和絵具が落ち着いた美しさを演出していました。
器と料理が見事なコラボレーションをなしている共創作品。これらは小松の人気レストラン(第11回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」ブロンズ賞受賞)『SHOKUDO YArn(ショクドウ ヤーン)』オーナーシェフ米田氏が、この先の食のかたちを考え、どのような器を求めるのかに耳を傾け、対話と議論を深め生み出された作品群。会場では器の作者と米田氏のコメントを実際の器と共に楽しむことができます。
会場奥には、美大生と作家の共創作品が並びます。写真2枚目にあるのは、小松市長である和田愼司氏も高く評価した「消毒液自動ディスペンサー」(徳田八十吉×小池康晴)。まだプロトタイプではありますが、それぞれ実用に向けて「無機質な用の世界に、果実のようなみずみずしい色と形を与えたい」(徳田)、「瑞々しさを表現するために、絞り上げた形にデザインしました」とコメントを寄せています。
このほかにも、工芸品をファッショナブルに身に付けることのできる義肢「Get dress up me!」(吉田太郎×高橋美桜・伊藤美幸・白水萌菜美)、九谷焼の魅力を前面に押し出したリップケース「想世花」(石冨俊二郎×三原衣吹)など、九谷独自の美意識が光る作品がずらり。
360年の伝統を持つ九谷焼。本展ではその歴史の重みと共に、小松のものづくりの豊かさ・強さを感じることができました。
2024年春には北陸新幹線小松駅が開業し、首都圏からのアクセスがさらに良くなる小松。現地の空気を感じながら、その伝統に触れるのも素敵ですね。
編集部 高橋
小松・九谷のものづくり「素材のカタチ」
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
会期:2021年3月14日(日)~3月21日(日) ※終了しました
開館時間:11:00~17:30
入場料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.2121designsight.jp/gallery3/kutani/