東京ミッドタウン・デザインハブでは3月13日(土)まで特別展「花とともに生まれん。 3・11以後、復興とアート」が開催されました。
2021年3月11日(木)、東日本大震災から10年。本展では、10年間の復興の歩みと変わりゆく被災地の姿について岩手県復興局によるパネル紹介と、被災以後、NPO岩手未来機構と深い関わりのあった国内外のアーティストたちが被災地に寄り添い表現してきた作品が展示されました。
会場の端から端までを使って展示されているのは建築家でありアーティストでもあるアナ・ダブッツォによる「Flower Lifetime(花の生涯)」という40mもあるインスタレーションです。東京ミッドタウン・デザインハブのために制作されたという本作は、展示されることだけが目的ではありません。このインスタレーションの各断片は、20着ものユニークなドレスに変身するように設計されていて、それらはプレゼントとして、震災を経験した東北の若い女性へ贈られるそうです。
「芸術の真の力は、人の心の復興を助け、希望を与え、同じ太陽であることを楽しむことなのです」というアナの言葉の通り、彼女の芸術は未来へと続くパワーを感じさせてくれました。
こちらは画家の長友心平による「王様シリーズ」。このシリーズでは、王や女王など冠をかぶった身分の高い人物たちが、目を伏せてどことなく物憂げな表情をしています。幸福であるはずの彼らが、どうしてこのような表情をしているのでしょうか。作品、そして作者は来場者に「あなたはどう生きるのか」を問いかけます。
漫画家・川口まどかが本展のために描き下ろした「奇跡の堤防」。東日本大震災の20mを超える津波から民家や学校を守った、普代村の堤防のイメージイラストです。「画面の中央に描かせていただいた津波到達高の数字を見ると、何か行動をせねばという使命感を感じます」と氏。その思いは、描かれた男女の強いまなざしから伝わってきます。
会場では、若手漫画家の育成と岩手の魅力の発信のために2018年から創刊されている漫画誌「いわてマガジン」を読むことができました。本誌では、震災の風化を防ぐ取り組みとして、1号につき1作は必ず震災に関連する作品をとりあげています。
「3.11」から10年。時間によって哀しみが薄れることはありませんが、被災後の10年間を静かにかえりみながら、復興とその向こうにある希望や人々のエネルギーを芸術を通して知ることのできる、貴重な展覧会でした。
また、東日本大震災を風化させないため、現地の人々の思いを全国に届けたい、との願いから始まった「多摩大学村山貞幸ゼミ 日本大好きプロジェクト」の一環である期間限定イベント「和紙キャンドルガーデン-TOHOKU 2021-」が3月11日(木)まで東京ミッドタウンの芝生広場とミッドタウン・ガーデンで実施されました。
今年は「つなぐ」をテーマに、大規模被災地の東北3県(岩手県・宮城県・福島県)から電話やメール、郵送で集めたメッセージ入り和紙を使い、キャンドルを製作。期間中は、これまでに集めたメッセージを含めた約1万個のキャンドルが設置されました。
ミッドタウン・デザイン部では、10年にわたり和紙キャンドルガーデンの企画・運営をしてきた多摩大学の村山先生、4年生の中村さんのインタビューを実施予定。詳細は東京ミッドタウン・デザインハブの公式サイトにてご確認ください。
編集部 高橋
東京ミッドタウン・デザインハブ特別展
花とともに生まれん。 3・11以後、復興とアート
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
会期:2021年3月1日(月)~3月13日(土) ※終了しました
開館時間:11:00~19:00
休館日:会期中無休
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://designhub.jp/exhibitions/6584/