現在PERROTIN東京では、フランス人アーティスト、ジャン=ミシェル・オトニエルによる新作の個展「"夢路" DREAM ROAD」が開催されています。オトニエル氏の日本でのギャラリー展は今回が初めて。初公開となる新シリーズのガラスの立体作品や、金箔を用いた絵画作品が展示されています。
会場内に並んでいるのは、菊花や、日本の古典文化における菊の象徴的意味にインスピレーションを得た作品《Kiku》。湯島天満宮にて開催されている「文京菊まつり」に、氏が何度も足を運んでいるからこそ生まれた作品です。
氏は、菊を「日本で最も重要で象徴的な花のひとつ」と説明し「忍び寄る冬もよそに、秋に咲く花として知られ、長寿と若返りの象徴となりました。周囲がすでに眠りにつき始めているにも関わらず、驚異的に闘い、あらゆる困難を物ともせず咲く花という考え方をとても気に入っています」と、菊への愛を語っています。
立体作品《Kiku》は、丸が連なったようでもあり、また、長いチューブがいくつもくびれているようにも見えます。これは、愛や、日本文化における"結び"の伝統美を参考にしているのだとか。派手過ぎない、だけれどもはっと目を引くガラスの色彩は、日本の美が持つ"艶"を感じさせます。
大型のキャンバスを用いた絵画作品では、白金箔の層の上に黒インクで抽象的なイメージを描いています。メインスペースに展示された光り輝く立体作品《Kiku》と相反する絵画作品《Kiku》は、氏が作家活動開始当初より実践の中核とし続ける、ドローイングへの愛情を表現する作品となっています。
展覧会名である「夢路」は、そのロマンチックな世界観を覗かせるとともに、感情への鍵となるのは花のような素朴なものであることや、それが空想と想像への«夢の路»であることを指し示しています。菊の花が咲く閉ざされた禁断の園、一度足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
※現在、PERROTIN東京では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、事前予約制を取り入れています
編集部 高橋
ジャン=ミシェル・オトニエル「夢路」
会場:PERROTIN東京
会期:2020年9月16日(水)~10月24日(土)
開館時間:12:00~18:00 ※予約制
休館日:日曜、月曜、祝日
観覧料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.perrotin.com/