2020年2月19日(水)から3月11日(水)にかけて、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3にて「NO PROBLEM store @ 21_21」が開催されました。
「NO PROBLEM store」とは、機能的には問題ないけれども、今まではB品に含まれていた「グレーゾーン」の商品を「NO PROBLEM(問題ナシ!)」と捉え、定価で販売する新しい試みです。本展では、このプロジェクトに賛同した作り手と売り手、合わせて7社のNP品が集まりました。
(※21_21 DESIGN SIGHTは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止のため、2月27日(木)より4月12日(日)まで、全館休館となっています。詳細については、21_21 DESIGN SIGHT公式サイトをご覧ください)
展示では、並べられた製品それぞれに、B品とされた理由の説明と該当部分を指し示す立体の矢印が設置され、製造工程で発生する不具合がわかりやすく紹介されていました。
こちらは、國府田(こうだ)商店株式会社が輸入・販売している「VISION GLASS」です。インドの理化学用ガラスメーカーBOROSIL社が製造するシンプルな耐熱グラスで、本国では30年以上販売され続けるロングセラー商品となっています。上の写真のグラス、一見するとキズなどは見当たりませんが、やはりこれもB品だそうで、その理由は「ロゴのズレ」となっていました。
ちなみに、これらの「VISION GLASS」ですが、日本での販売基準をクリアするのは生産されたグラスの全体のわずか7%とのこと。
こちらの展示は、2012年に九州・八女で創業した「うなぎの寝床」の製品。同社は、地元の伝統工芸である久留米絣を使い、現代風に再構築した「もんぺ」の製造販売のほか、九州・筑後地方の特産物を扱うアンテナショップの運営をしています。
写真のハンカチは、生地の模様が湾曲しているためにB品とされました。ただ、このような生地も、洋服のようにパーツの形が複雑な製品であれば湾曲が目立たず、正規品とされることもあるそうです。しかし不運なことに、縁の形がはっきりとしているハンカチに使用されたために湾曲が目立ち、B品になってしまったとのことです。
こうした商品の裏にあるストーリーを知ることで、一つひとつの小さなキズやブレが製品それぞれの個性のように思え、正規品よりも愛着を持てる可能性があるようにも感じられました。
本展ではこのほかにも、山梨県の和紙メーカー「大直」と深澤直人氏のコラボレーションにより誕生したブランド「SIWA|紙和」や、21_21 DESIGN SIGHTオリジナルグッズのB品も展示されていました。
また会場内では、出展企業のNP品の展示販売も実施。それぞれの商品には、NP品となった理由と、該当箇所に黄色いシールが貼ってあり、自分が許容できる程度の品質なのかどうか、納得した上での購入が可能でした。
本展を通して、「Made in Japan」とも呼ばれる日本製品が、その高い品質を維持するためにどれほど厳しい基準を設けているのかを知ることができました。それと同時に、多くのB品を生み出してまで、これほど厳しく品質管理することが果たして必要なのか? ということを考えさせられる展覧会でした。
なお、次回以降の開催については、「NO PROBLEM store」を運営するNO PROBLEM COMMITTEEの公式サイトをご覧ください。
編集部 森
NO PROBLEM store @ 21_21
会期:2020年2月19日(水)~3月11日(水) ※終了しました
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
開館時間:10:00~19:00
入館料:無料
お問い合わせ:
method inc. 03-6427-9296(土日祝日を除く10:00~19:00)
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.2121designsight.jp/gallery3/no_problem/