現在、TOTOギャラリー・間では、若手建築家ユニット、増田信吾+大坪克亘の個展「増田信吾+大坪克亘展 それは本当に必要か。」が開催中です。本展では、初期作品から近作まで、彼らの設計過程が模型や写真によって紹介されています。
増田信吾+大坪克亘は、2007年に増田信吾氏と大坪克亘氏が共同主宰し、活動をスタート。設計を手掛けた「躯体の窓」でJDC Design Award 2014の金賞に選ばれると、2016年には第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展に日本館の出展作家として参加。そして2018年、「リビングプール」で第32回吉岡賞を受賞するなど、今、注目を浴びる気鋭の建築家です。
展示は3つのエリアに分かれており、それぞれに「Attitude [姿勢]」、「Adaptation [適応]」、「Appearance [様相]」というテーマが設けられています。3階ギャラリーの「Adaptation [適応]」エリアには大きなモックアップが並び、それぞれの背後の壁には、各作品のプロジェクトの起点となった言葉と設計の意図が書かれています。
こちらは「リビングプール」の模型です。家屋のリフォームのプロジェクトであったことから、「気に入った"場所"に住む」ということを考え、通常は最後に考えるという建物の基礎部分から設計。その結果、床の高さを地面に近いところまで下げることで、窓から見える景色の広がりや、場所全体を感じられるようにしたそうです。
また、これらの模型は光を通しにくい素材になっており、外から光が差し込んだ時の様子まで確認することができるようにつくられています。
一つ上の階に広がるのは、「Attitude [姿勢]」エリア。先ほどの「Adaptation [適応]」エリアで紹介されていた作品の全体像と、周囲の環境までが模型化されています。こうして周辺の様子を含めて見ることで、作品の設計意図をより理解できる構成になっているとのこと。
上の写真は、初期の代表作「躯体の窓」の模型。建物よりも大きく広がった窓は、幅14m、高さ8.5mにもなります。また、このサイズにまで窓を大きくすることにより、庭全体に外光を反射させ、室内からの景観を明るくする効果をもたらしているそうです。見た目のインパクトだけでなく、実用面でも工夫が凝らされています。
フロア奥の壁には、制作過程で書かれたメモやデッサンがびっしり。これら一つひとつを読むことで、さらに深く両氏の思考に迫ることができそうです。
1階と地下1階のセラトレーディング東京ショールームに広がる「Appearance [様相]」エリアでは、作品の写真を展示。上述の2エリアで説明された作品が現実の世界へどのように根付き、機能しているかを見ることができます。
建築物の設計を考えるところから始まり、完成した後の様子までが表現された本展。今をときめく若手建築家ユニットの思考を追体験しに、会場へ訪れてみてはいかがでしょう?
編集部 森
増田信吾+大坪克亘展 それは本当に必要か。
会場:TOTOギャラリー・間
会期:2020年1月16日(木)~3月22日(日)
開館時間:11:00~18:00
休館日:月曜・祝日 ただし、2月23日(日・祝)は開館
入場料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://jp.toto.com/gallerma