東京ミッドタウン・デザインハブでは2019年12月25日(水)まで、東京ミッドタウン・デザインハブ第83回企画展「ヴィジュアル・コミュニケーション・デザイン・スタディ」が開催されています。
本展では、武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科の2002年以降の教育成果を公開すると共に、未来のヴィジュアル・コミュニケーション・デザインを展望する機会となっています。
視覚伝達デザイン学科の教育の特質は、基礎課程における基礎概念を入門ととらえず、全ての造形を支える最も重要な基礎として考えている点です。学生たちは1年生の時に身に付けたしっかりとした土台のもと、一人一人が持つ感性と知覚能力の覚醒、そしてその開発を目指します。
小さな箱がいくつも並んでいますが、この中に入っているのは100色もの「そらのいろ」。この「そらのいろ」は、数100冊の絵本から水彩絵の具を用いて1色1色丁寧に採集したものです。「きつねのこが 山をまわっているときの そらいろ」「もうすぐ ふゆがくるそらいろ」など、それぞれに名前がついていました。
グラフィックデザイナーである武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科教授の新島実氏は「目的的にデザインの解答を得ようとする態度からは決して生まれない、"共感"を得ることのできるデザインに仕上がっている」とコメントを添えています。
こちらは、自分の手で鏡を動かしていくことで読み進められる「かぐや姫」の物語。鏡の中に絵本ともアニメーションとも違う、不思議な世界観が広がります。このデザインを作った岩見梨絵氏は、鏡を使いながら対象の図形を作り出しているときに、本作のアイデアを得たそうです。
教育実習での出会いをきっかけに、自閉的傾向にある子どもたちが持つ独特の世界に惹かれた川瀬康子氏。自閉的傾向にある子ども"しいたくん"の「並べる」というこだわりの行動に注目し、1,000個のカラーボールをベースにした、カチッと、ピタッとはまる並び遊びのおもちゃを考案しました。
川瀬氏は「このおもちゃが数や言葉など学習への応用や彼自身の表現の幅を広げるきっかけとなることを期待しています。おもちゃとしてだけではなく、自閉症の子どもたちのこだわりを私たちも体験できるものになればと考えています」とデザインの構想を明かしています。
このほかにも、工夫やアイデアがつまったデザインがたくさん並んでいました。近年ますます注目されつつあるビジュアル・コミュニケーション。その現在と未来を見つめに来てみてはいかがでしょうか?
編集部 高橋
東京ミッドタウン・デザインハブ第83回企画展
ヴィジュアル・コミュニケーション・デザイン・スタディ
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
会期:2019年11月25日(月)~12月25日(水)
休館日:会期中無休
開館時間:11:00~19:00
観覧料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://designhub.jp/exhibitions/5461/