国内外から優れた映画が一堂に集結する「東京国際映画祭」が2019年10月28日(月)から11月5日(火)まで開催されました。
今回で第32回となる本祭。オープニングセレモニーを飾ったのは、細棹三味線を主とし、独自のスタイルで三味線音楽を開拓している山本ゆきのと、彼女のプロデュースによる女性三味線ユニット「ねのいろ」のエンターテイメントショー。繊細でありながらも迫力のある演奏に、出席者からも感嘆の声が上がりました。
今年のオープニング作品となったのは、新撮された"今"と、4Kデジタル修復されたシリーズ映像が紡ぎ合う、新たなる「男はつらいよ」の物語『男はつらいよ お帰り 寅さん』。小説家になった満男に、伯父・寅次郎への想いが蘇る内容になっています。
登壇したのは、監督の山田洋次氏ほか出演者の面々。山田氏は今作について「50年かけて作った映画というのは、映画界でもなかなかないのではないでしょうか? 僕の演出がどんなに下手くそでも、その年月の重みだけは、映画を通して皆さんに伝わると思っています」とコメントを寄せました。
毎年の見所となるのは、世界各国からの新作がグランプリを競うコンペティション部門。今年は115の国と地域から1,804本もの応募があり、14作品が正式出品されました。
コンペティション部門国際審査委員 委員長であるチャン・ツィイー氏は「全員が映画祭に参加できることを喜んでいます。また私たちを信頼していただけたことに感謝の気持ちを伝えたいです」とにこやかに挨拶。また、現在妊娠中であることにも触れ「審査員として14作品を鑑賞しますが、とてもいい胎教になるのではないかと思っています」と笑いを取りつつも、審査への意気込みを述べました。
栄冠を勝ち取ったのはフラレ・ピーダセン監督によるデンマーク映画『わたしの叔父さん』。美しいデンマークの農村風景の中で、酪農家として生きる若い女性クリスと体の不自由な叔父の姿を描いた作品です。
ピーダセン監督は「少人数のスタッフで一生懸命撮りました。名誉ある賞をいただき、本当に光栄です」と喜びを噛み締め、主演女優のイェデ・スナゴーについて「アイデアの段階から参加して、私ををサポートも批判もしてくれた最高のパートナーです」と称賛しました。
今年も様々なジャンルの映画が集結した東京国際映画祭。この期間は、日本だけでなく世界各国から映画ファンが六本木に集います。一人で映画を楽しむのももちろん粋ですが、来年は同じ映画を見た人と感想を交わしてみると、新たな映画の楽しみ方を知ることができるかもしれません。
編集部 高橋
第32回 東京国際映画祭
会場:六本木ヒルズ、EXシアター六本木(港区)、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場(千代田区)ほか 都内の各劇場及び施設・ホールを使用
会期:2019年10月28日(月)〜 11月5日(火) ※終了しました
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://2019.tiff-jp.net/ja/