21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では、8月31日(土)まで、ニュージーランドの先住民であるマオリ族の文化交流を通して、民族のアイデンティティや伝統について知ることができる「TUKU IHO 受け継がれるレガシー」展が開催されています。
ここで展示されているのはニュージーランド・マオリ芸術工芸学校の教員や学生が制作したマオリの伝統芸術・現代アート作品。同校の制定法は、マオリ族の伝統的な芸術、工芸、文化を保存し実践する権利を明確に認めている、ニュージーランドならではのユニークな法律です。
マオリ文化の「伝統と今」を紹介する「TUKU IHO」は2013年に発案され、これまでに世界各国で展示会が行われてきました。
これはクメテと呼ばれる、部族の長によって所有され、食べ物の保管や食器としても使用されている器。これらの彫刻は、自然から派生するエネルギー "マナ"の象徴です。マナは、慈悲と交流(マナアキタンガ)に必要不可欠な要素であり、マナアキタンガには日本のおもてなしに通ずるものがあるそうです。
こちらは銅とパウア(アワビ)の貝殻で作られた、赤ん坊をモチーフにしたペンダント。マオリ族に伝わった初めての銅は、2度目のニュージーランド航海(1,772年~1,775年)で訪れたジェームズ・クック船長の一行から入手した、銅鋳造のこん棒でした。以降、マオリ族はこの新しい素材、技術に順応して導入していきます。
タオンガ・プオロ(楽器)は、それを所有する個人の様々な思い入れが深い道具であり、人々の生活における告知、または霊的な世界とのコミュニケーションといった祭祀的な目的で使われていました。写真左のコアウアウ(小型の横笛)、奥のナル(横笛)は求婚の儀式に使用されていたそうです。
20世紀には、新たな楽器の製作と演奏はほぼ失われてしまっていましたが、1990年代に起こった熱心な働きにより、今日では徐々に復興を遂げています。
展示期間内8/1(木)~8/14(水)には東京ミッドタウン 六本木 コートヤードにてマオリの伝統芸能 カパ・ハカの舞踏パフォーマンスも行われました。ラグビーのニュージーランド代表が試合前に披露するため、その踊りを知っている人も多いかもしれません。力強い声、エネルギッシュなダンスに観客は圧倒されていました。
マオリの文化を通して、アイデンティティや、共同体の果たす役割について考えさせられる展覧会。入場無料ですので、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
編集部 高橋
TUKU IHO 受け継がれるレガシー
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
会期:2019年8月1日(木)~8月31日(土)
開館時間:10:00~19:00
休館日:火曜日
入場料金:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.2121designsight.jp/gallery3/tuku_iho/index.html