東京ミッドタウン・デザインハブでは第80回企画展「日本のグラフィックデザイン2019」が開催中。本展は会員約3,000名を擁するアジア最大級のデザイン団体、日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)が、1981年より発行を続ける年鑑『Graphic Design in Japan』の2019年版の発行を記念して開催している展覧会です。
会場には年鑑に掲載作品の中から約300点を実物とモニタで展示。身近な雑貨から、書籍、商品パッケージ、シンボル・ロゴ、ポスター、ウェブサイト、映像、展覧会やショップの空間デザインに至るまで、世界でも評価の高い日本のグラフィックデザインがずらりと並んでいます。
全JAGDA会員の互選により選ばれた選考委員には、浅葉克己、植原亮輔、渡邉良重、佐藤卓、えぐちりかなど六本木未来会議でもインタビューやプロジェクトに参加しているクリエイターが名を連ねています。
今回、全出品作品の中から最も優れたグラフィックデザインに与えられる「第21回亀倉雄策賞」を受賞したのは、色部義昭氏による地下鉄のCI計画「Osaka Metro」。コーポレート・アイデンティティ、略してCIとは、企業の特性や独自性を統一されたイメージやデザイン、またわかりやすいメッセージで発信し社会と共有することで存在価値を高めていく企業戦略の一つです。
角度を変えると大阪の頭文字"O"になる立体的なロゴ"M"は、OsakaのMetroというテーマでしか実現し得ない、特殊な造形で応えたいという思いから生まれたアイデアだそうです。できるだけ言葉を介さずにビジュアルのみでデザインを分かりやすく説いている部分が大きく評価されました。
こちらは銀河鉄道999 40周年記念作品 舞台『銀河鉄道999』の公演グッズ。黒い紙に穴をあけ、銀河鉄道999と登場人物のメーテルが浮かび上がらせています。穴が宇宙に散らばる星のようで、とてもロマンチックですね。
1967年創業の「御宿 海楽」では、素朴さと非日常感を兼ね備えた海楽の魅力を伝えるため、写真のようなツールで宿泊者を迎えます。威厳に満ちながら柔らかさを持ち合わせたこのロゴは、宿の入り口にも垂れ幕として描かれています。
思わず手に取ってしまいたくなるのは、タルトを中心としたスイーツブランド「Tartine」のパッケージ(作・渡邉良重)。タルトとツイン(双子)を掛け合わせて名付けられており、パッケージやショッパーには双子の女の子が描かれています。本デザインは、各カテゴリの高得票作品の中から、「特に優れたグラフィックデザイン」作品に授与される「JAGDA賞2019」を受賞しました。
同じく「JAGDA賞」を受賞したのはインタビューにも登場した葛西薫氏のブックデザインによる「クレーの日記」。葛西氏はデザインにあたり「ただならない文字量を前に、言葉と地面を目で味わいながら、苦しみつつ楽しんで本文組に時間を注ぎました」とその苦労を明かしています。
本レポートで紹介したほかにも、立ち止まってしげしげと眺めてしまうような素敵なデザインが並ぶ本展。会期中、グラフィックデザイナー・アートディレクター等によるトークイベントも行われるので、公式サイトをぜひチェックしてみてくださいね。
編集部 高橋
東京ミッドタウン・デザインハブ第80回企画展
日本のグラフィックデザイン2019
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
会期:2019年6月20日(木)~8月7日(水)
開館時間:11:00~19:00
休館日:会期中無休
観覧料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://designhub.jp/exhibitions/4915/