21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では、6月30日(日)まで「クリヨウジのクレージーハウス」が開催されています。アーティストのクリヨウジは、1956年に初の漫画展を開催して以来、アニメーション映像800点以上、絵画3,000点以上、漫画10万点以上と、他の追随を許さない数々の作品を生みだしてきました。
一部のアニメーション作品は、ギャラリー1&2 にて開催中の企画展「ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR」 で展示されていますが、ギャラリー3で開催の本展では、91歳を迎えた現在も制作を続けている絵画を中心に、クリヨウジの描く空想にあふれた世界を、より広げて紹介しています。
カナダのアニメーション作家であるノーマン・マクラレンに大きな影響を受けたという久里氏。アニメーションの制作は、作画、音付け、録画などすべての過程を、ほとんど一人で行っているそうです。
館内では、ドキュメンタリー「久里洋二でいこう」より抜粋された、スタジオでのアニメ制作風景の映像を見ることができます。約15分間の短い映像ですが、氏のアニメーションへのこだわりや熱意、また「アーティスト クリヨウジ」に至るまでの歴史を知ることができました。
こちらは本展のために作られた新作の「ヤギの食物」。トイレットペーパーを食べたヤギが、お尻から紙紐を出しています。氏は、本当は一万円札を入れて、一円玉が出るようにしたかったそうなのですが、ギャラリーでの展示に伴い、現金を使うのは断念したそう。
「両替機よ、お金の場合はね。紙の場合は紐をつくる。面白い?面白くない?これ、頭のセンスの問題ね。ユーモアがあるかないかこれでわかる」と、氏は本作を通して我々にユーモアを投げかけます。
また、本展では「切手の幻想」や「フロイトの木」など全部で7つのアニメーション映像が上映されています。他に残っておらず、ここでしか見られないものもありますので、訪れた際にはぜひご覧ください。
「この世にありえない絵をね、描いてる。描きたい。夢の世界を描きたい。夢というのは、誰にも侵されない場所だからね」と久里氏。その言葉通り、ギャラリー3には所狭しと作品が並んでいます。それはまるで、我々を夢の世界へと導く道しるべのよう。
「それを表現することで、初めてみなさんの前に現れるけど、それ以前は誰一人も入れないぼくの夢の世界なんだ。それを絵にしている。ぼくの夢の世界に入りたい?」
日々の現実世界を忘れ、クリヨウジの夢の世界を覗きに来てみてはいかがでしょうか?
編集部 高橋
クリヨウジのクレージーハウス
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
会期:2019年6月8日(土)~6月30日(日)
開館時間:10:00~19:00
休館日:火曜日
入場料金:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://jp.toto.com/gallerma