六本木ヒルズ展望台 東京シティビューでは9月16日(月・祝)まで、ピクサー・アニメーション・スタジオ(以下、ピクサー)の映画を生み出す"技法と科学"に迫る展覧会「PIXARのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス」が開催されています。
会場では、「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」「ファインディング・ニモ」などの名作を生み出してきたピクサーのアニメーション制作の工程を、体験を通して知ることができます。
ピクサー映画は大きく分けて8つの工程からできています。最初の工程は「モデリング」。アーティストが描いたスケッチを基に、コンセプト・アートに沿ってデジタルモデラーがキャラクターのバーチャル3Dモデルを作ります。
ちなみに「トイ・ストーリー」は世界発の長編CGアニメ映画であり、本作以降コンピュータの処理速度が大幅に進化。20年前には1時間以上かかっていた作業が、今では1秒でできるようになったそうです。
バーチャル3Dモデルが完成すると、次はそのキャラクターに仮想の骨や関節、筋肉をつけていく「リギング」です。写真で女の子が取り組んでいるのは、リグで表情を作る作業。上下の瞼、瞳の大きさ、左右の眉毛など、リグの種類は顔だけでもとても細かく分かれています。
髪型や服装などの外見を決める「サーフェイス」、シーンに合ったセットの作成、カメラの動きやレンズの種類などを決める「セット&カメラ」を経て、やっとアニメーターがキャラクターに演技をつけ、ストーリーに命を吹き込む「アニメーション」が行われます。
そこで必要になるのが、キャラクターの髪の毛や衣服を本物のように動かす「シミュレーション」。プログラミングの情報量と技術的制限、起動にかかる時間のバランスを見極めながら、作品内の「自然現象の物理法則」と照らし合わせ、作業を進めます。
水中を舞台にした「ファインディング・ニモ」では、水面・水滴・しぶきなど異なる波の特徴を表現するためにシミュレーション効果を3パターン開発。100万を超える気泡を使い、海流の中にいる感覚を再現したそうです。
照明効果でシーンに強弱をつけた後は、映画館のような大画面でも鮮明に楽しめる状態にするための「レンダリング」が待っています。ここでは、150万個のピクセルの色を、1フレームごとに決定していく、とてつもない作業を行っており、1フレーム当たり平均29時間もの時間がかかっているのだとか。
これら一つ一つのこだわりが、我々を感動させてくれるピクサーの作品"ひみつ"。まるでピクサーの作業場に潜り込んだかのような興奮がありました。9月16日(月・祝)までと会期も長いため、夏休みの自由研究などにももってこいです。子どもが楽しめるだけでなく、大人も思わず唸ってしまうピクサーの世界。覗いてみてはいかがでしょうか。
編集部 高橋
PIXARのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス
会場:六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー
会期:2019年4月13日(土)~9月16日(月・祝)
時間:10:00~22:00
※最終入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
入場料金:一般1,800円、高大生1,200円、4歳~中学生600円、シニア(65歳以上)1,500円
展覧会ホームページ(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.tokyocityview.com/pixar-himitsu-ten/