六本木で働く・住む人に、街についてのインタビューをし、リレーでつなげる当企画。今回は、ギャラリー イー・エム 西麻布のオーナーである写真家の竹内英介さん。ギャラリー運営や写真家活動を通して国内外の人と出会ってきた竹内さんには、これまでの六本木、そしてこれからの六本木が見えていました。
Q 01
六本木といえば_________。(一言で表すと?)
A
カメラマンとして答えるならば「写真を撮る要素が、すべて揃っている街」です。撮影スタジオが歩いていける距離にあったり、現像所が近くにあったり、モデルクラブが充実していたりとカメラマンにとって天国のような場所ですね。今はデジタルが主流になってきてしまっているので、現像所などが減ってきているのが少し残念です。
Q 02
あなたがオススメする、六本木のベスト3は?(飲食店を含む、あらゆるお店でOK)
A
1位 ギャラリーの前のベンチ
ギャラリーの後ろにあるビルを取り壊す際に「捨てるようだったら、いただけないですか?」と聞いて譲ってもらったベンチです。木もいい木でしっかりしていますし、男の隠れ家的な雰囲気があって気に入っています。この場所はタバコが吸えるのですが、私の年代には愛煙家が多いので、ギャラリーを観た後などはそこが溜まり場になりますね(笑)。外と室内の中間のような空間で、会話が弾みます。
2位 椎根さんの事務所
遊びに行くと美味しいお茶を出してくださり、楽しいお話も聞けます。世界を股にかけて編集やライターをやっていらっしゃる方なので、教養が深いですし、何を聞いても詳しく教えてくださいます。こういう人付き合いがとても好きですね。
3位 牛坂
八王子から江戸に絹織物を持っていく坂として使われていて、牛車の荷物の重さに牛がモウモウと鳴いたことから、牛鳴坂とも言われていたそうです。急な坂なので、登っていると身体の疲れなどからその日の体調が分かります。昔は多くのお妾さんが坂の先に住んでいていたようで、私が来た時には粋なおばあさんがたくさんいました。
Q 03
六本木にある、お気に入りの景色は?
A
東京タワー
海外や都外に出掛けて帰ってきた時に見えると、"我が家"に戻ってきたようでほっとします。飯倉片町の交差点から一望できる東京タワーはお気に入りですね。
Q 04
六本木のアフター5の過ごし方は?
A
写真が好きなので、仕事後も写真を撮りにいくことがほとんどです。お酒を飲んだり、遊びに行くことはあまりないですね。人間があってこその街なので、人々がどうその街に関わっているのか、遊んでいるのか、暮らしているのかを写真に残しています。
Q 05
六本木ならではのリフレッシュ方法は?
A
一昨年亡くなってしまいましたが、ボーダーコリーのエイミーとの朝晩の散歩は、楽しかったですね。昔、牛坂の角の家でサルやニワトリなど動物をたくさん飼っている家があったのですが、子どもが生まれてからだんだんと動物を手放すようになったんです。
エイミーはその家で飼われていましたが、ほかの動物と同じように引き取り手を探されていました。駐車場に張り紙で「この犬、欲しい人にあげます」とあったので、私はすぐに行って引き取りました。家に来るとすぐに馴染んで、ギャラリーを訪れる人にも愛されました。亡くなった時にも、ギャラリーにエイミーへの花束が絶えなかったほどです。
Q 06
身の回りのお気に入りのデザインは?
A
ドイツのROLLEIFLEXとLeicaのカメラです。
左のカメラは2眼レフと言って、撮影用のレンズとファインダーから覗くためのレンズが別になっているもので、モノクロのスナップを撮るときなどに使っています。50年代、60年代にファッション雑誌で活躍した、モノクロ写真にマッチしたカメラです。私は新しい物好きなので、家には様々な種類のカメラがありますね。
Q 07
六本木をもっと良い街にするには?
A
椎根さんをはじめ文化人の声を聞いて、そういった人たちがより良く暮らせるような街にしてみてはどうでしょうか? 人は人を呼びますし、昔は文化人が集まって会話が生まれる場所がたくさんあったのですが、最近はめっきり減ってきていますね。
Q 08
前回出演した方(椎根さん)とのつながりを教えてください。
A
ここに引っ越してきて、ご近所づきあいをさせてもらっています。椎根さんの事務所で奥様が興味深い個展をされていたことがあり、観に行ったりしているうちに親睦が深まりました。
no.064
竹内英介さん
70代・写真家/ギャラリーオーナー
六本木歴20年