2019年2月23日(土)から3月3日(日)まで行われたMedia Ambition Tokyo [MAT] に行ってきました。本展で7回目を迎えるMATは、最先端のテクノロジーカルチャーを実験的なアプローチで都市実装するリアルショーケース。今年はどのような作品が登場したのでしょうか? 六本木ヒルズ展望台 東京シティビューを中心にイベントの一部をご紹介します。
入口で人だかりができていたのは『Pokémon GO』の開発・運営を手がけるNiantic, Inc. と、ライセンス、開発・運営協力を行う株式会社ポケモンらによる「Pokémon GO AR展望台」。
Microsoft Hololensを活用したキャップ風の「ポケモンスコープ」を通して、現実空間にリアルに溶け込むポケモンを眺めることができます。AR(拡張現実感)技術により東京の景色がどのように変化するのか、未来の日常をポケモンがどのように彩っていくのかを垣間見ることができました。
人間の新たなパートナーとなるために、3年以上にわたり開発された「LOVOT」には、人の代わりに仕事をこなしたり、生活を便利にする機能は備わっていません。人に甘えて抱っこをせがんだり、構わないと拗ねてしまうような、スキンシップを好むペットのようなロボットなのです。抱っこすると本物の生き物のようなぬくもりを持っており、人間とロボットの新しい関係性が生まれつつある予感がしました。
未着色のこけしをキャンバスに映像が投影され個性的なこけしが浮かび上がるのは、wowによる「YADORU」。東北に古くから伝わる郷土玩具をテーマに、工房見学を始めとしたフィールドワークを通して伝統を学び、そこに自分たちのもつ表現技術と解釈を加えて作り上げた実験的な連作の一つです。
本展では、山形ビエンナーレ2018出展の際に撮影された山形県の人々130名余りの顔が映し出される鑑賞型と、来場者が顔を撮影することで作品に参加できるインタラクション型の2種類が展示されていました。
尾崎ヒロミ(スプツニ子!)と串野真也とのコラボレーションからうまれたユニット・Another Farmは、人間の手で行われている品種改良に着目しました。本展では人間と関わり合いの深い"蚕"と"動物"を中心とした作品で構成されており、芸術と科学、そしてテクノロジーとの関わり合いが現代社会においてどのような意味や問題を持つのかを問いかけるきっかけとなっていました。
この他にも、落合陽一による展示風景とメディア装置に関わる世界認識についてインスタレーションで表現した連作「風景と質量と」のシリーズや、日常生活の中に隠れた絶景を捉え、アートとサイエンスの力を用いて、デザインの価値と魅力を再解釈する脇田玲の「Furnished Fluid - 家具づけられた流体」など、注目の作品が展示されていました。
2020年、そしてその先の未来を見据えて移動や通信、情報を含んだ都市システムのありかたが大きく変化している今。私たちの近い未来を変革するような、多種多様のテクノロジーアートが様々なかたちで並んでいました。今後のMATの発展に、ますます期待が高まるような祭典でした。
編集部 髙橋
Media Ambition Tokyo 2019
会場:参加アーティスト:Niantic × Pokémon、Rhizomatiks Architecture、ispace、teamLab、落合陽一、WOW、nor、Synesthesia Lab feat. evala (See by Your Ears)、ANOTHER FARM(スプツニ子×串野真也)、PARTY、脇田玲、IMG SRC、IMA、田所淳、Qosmo、Thierry FOURNIER [DIGITAL CHOC 2019 コラボレーションアーティスト]
会期:2019年2月23日(土)~3月3日(日) ※終了しました
場所:六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://mediaambitiontokyo.jp/