現在、TOTOギャラリー・間(ま)では、スペイン・カタルーニャ地方のオロットを拠点に、歴史や文化、自然に寄りそった活動を続けるRCRアーキテクツの展覧会「RCRアーキテクツ展 夢のジオグラフィー」が開催されています。
ラファエル・アランダ、カルマ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタによって1988年に設立されたRCRアーキテクツ(以下、RCR)は、常に3人で対話を重ね、カタルーニャの土地に根差しながら詩情豊かな建築を生み出してきました。
本展の見どころは大きく分けて2つ。1つはRCRによる6つの代表作品の展示です。模型だけでなく、建物や周りの風景が撮影された映像がセットで並んでいるため、実際にその土地の風を感じているような感覚を味わうことができました。模型は写真撮影も可能です。
もう1つは「夢」をテーマに彼ら自身がカタルーニャ地方ガロッチャで進めている「ラ・ヴィラ」プロジェクトについての紹介です。RCRは、広大な敷地に研究施設や工房、宿泊施設、パビリオンなどを配した「ラ・ヴィラ」において、人々が集い、ともに学び、自然を空間として体感してもらうことで、知覚することそのものを学ぶ研究の場を実現しようとしています。写真は「ラ・ヴィラ」についてのドローイング。
ヴィラルタ氏は、「これらの展示物は一見シンプルでとても簡潔な形で表現されていますが、その中では実は多くの人がかかわって複雑で複合的なものを作っています。そういう多様な人の力が集まったものとして、その価値を『ラ・ヴィラ』を通して皆さんに伝えられたら」と本展への思いを込めて語ります。
プロジェクトの1つである「紙のパビリオン」は、RCRが長年にわたり影響を受けてきた日本文化との架け橋となるプロジェクト。
日本の伝統建築について、「人々が自然を愛し、自然に敬意を払った方法で作られている」と、人と建築との共生的な在り方に感銘を受けたRCRが、奈良県吉野町の人びとと協力し、吉野の木材を用いながら建物を建てようとしています。本展ではその構造体の一部分を見ることができました。
上の階にあるのは、水彩画によって表現された吉野の森。和紙に描かれた絵によって、まるで森に誘われているかのような立体的な空間が再現されています。紙になってもなお、木が本来持つしなやかさや美しさは失われていません。
本展について「典型的な建築の展覧会のように、私たちの作品やこれからのプロジェクトを紹介するというよりは、私たちのもっとずっと感情的な部分を伝えるために作りました」と語るピジェム氏。
人間や自然との関わりについて、建築によって目を開かせてくれるような新鮮な展覧会で、RCRのスピリットを感じてみてはいかがでしょうか?
編集部 髙橋
RCRアーキテクツ展 夢のジオグラフィー
会場:TOTO ギャラリー・間
会期:2019年1月24日(木)~3月24日(日)
開館時間:10:00~18:00
休館日:月曜・祝日
観覧料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://jp.toto.com/gallerma