東京ミッドタウン・デザインハブでは1月14日(月・祝)まで、国内最大のクラフトの展覧会である「-クラフトNEXT-第58回日本クラフト展」が開催されました。今年はどんな作品が注目を集めたのでしょうか?
1960年の第1回展開催から今回で58回目を迎える日本クラフト展は、全国から公募された一般・学生の入選作品と、日本クラフトデザイン協会(JCDA)会員作品による展覧会です。今回は、素材を活かし高度な技と感性によって作られた約650点のクラフト作品が一堂に会しました。
今回のテーマは前回に引き続き「クラフトNEXT」。公益社団法人 日本クラフトデザイン協会理事長である磯谷晴弘氏は「様々な要因で次の時代、次の生活、次の作品の制作に暗雲が立ち込める時、私たちが開催する日本クラフト展がその雲を吹きはらい、雲間から射し込む光のように"NEXT"への道と、希望と意欲を示すことができたら」とコメントを寄せています。
経済産業大臣賞・日本クラフト大賞に選ばれたのは、柳健太郎氏の「Wind Pleasure Land」。耐熱ガラスでできたこの美しい作品は、単なるインテリアではありません。ワインをテーマにしたデキャンタ、ゴブレット、ピペットなどがガラスのチェーンで動く仕掛けになっています。この精密さと、柳氏の作品にかける思いが高く評価され、見事大賞に輝きました。
柳氏は酒をテーマに耐熱ガラスを使った作品群を制作しており、アメリカのG.A.Sカンファレンス(世界中のガラス関係者及び様々な分野のガラス作家の交流の場)に招待されたりと、海外で高い評価を受けています。
手びねり・漆塗り/やきもの・漆で作られた器「地層の記憶」は、学生である布下翔碁氏の作品。「言葉では伝えられない、これまでにありそうでなかったハイブリットなモノとして存在する新しい魅力を持っている」と東京国立近代美術館工芸課長である唐沢昌宏氏に言わしめた本作は、優秀賞を受賞しました。ざらざらとした陶と、艶めいた漆の組み合わせに思わず足を止めてしまいました。
また会期中には、チャリティーマーケットやJCDAの会員による「素材別作品解説」、クラフト素材を身近に楽しめる「親子ふれあいワークショップ」が行われていました。
陶磁・漆・木・竹・ガラス・金属・ジュエリー・テキスタイルなど、無限の可能性を秘めたクラフト。次回の開催が今から楽しみですね。
編集部 髙橋
東京ミッドタウン・デザインハブ特別展「-クラフトNEXT-第58回日本クラフト展」
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
会期:2019年1月6日(日)~1月14日(月・祝)※終了しました
開館時間:11:00~19:00
休館日:会期中無休
入館料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://designhub.jp/exhibitions/4390/