現在、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では、ギャラリー1&2で開催中の「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」に合わせ、「民具 MINGU展」が開催されています。
民衆の用いる日常品の美に着目した柳宗悦が、無名の職人たちによる民衆的工芸を初めて『民藝』と名付けたのに対して、民俗学者であり経営者の渋沢敬三は長い時を経て庶民の日常を支えた生活道具を『民具』と呼びました。
本展では、必要に駆られ、知恵と工夫がそのままかたちになった『民具』と、使い手としての生活者の立場に立ち、商品のあるべき原点を今一度見直そうと生まれた無印良品の商品が並べられ、現代の民具についての問いかけがなされています。
内覧会では、無印良品のアドバイザリーボードである深澤直人氏と、株式会社良品計画の金井政明会長の対談が行われ、『民具』についての濃い話が語られました。
良品計画について「答えがないことが、この会社の一番の資源」と金井会長。「もののつくり方や、何に対して誠実につくるかが、価値になっていく。必要が形になる、という素直さが信用力に繋がっているように思います。人間の生活にとって必要なものは、必ず残っていきますから」とコメント。
深澤氏も大きく頷きながら「ギャラリー1&2でやっている『民藝』では、これは何年に制作された、こういう背景を持つもので...という細かな情報は言わず、ただ"いいと思いませんか?"という投げの言葉とともに作品を展示しています。無印良品の商品は、この投げかけを黙っていながら行っている気がします」と語りました。
平たい率直な言葉でコミュニケーションをとることを重視しているという無印良品の商品。「素材の選択」「工程の見直し」「包装の簡略化」という3つの原則を基本にして"しるしの無い良い品"を生み出し続けています。
対談で商品の無断コピーについての話題が出ると、金井会長は「海外などで、商品をコピーされるケースはありますが、私たちが持っている思想や概念は、コピーできないんです」と無印良品の持つ精神について述べました。
これがあったら売れるだろう、こうしたら格好いい見た目なるだろう、そういった欲からではなく、必要だからこそ作られた無印良品の商品は、洗練されたギャラリー3にぴったりです。
「このギャラリー3での展覧会は、実は練習なんです。本番はあちらで」とギャラリー1&2を指す金井会長。「『民具』から望ましい社会をどう展望するか、今後も継続して考えていきたいです」と対談を締めくくりました。
単体ではなく、今と昔を比較することによって見えてくる新しい道具の姿。ぜひギャラリー1&2で開催中の「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」とあわせてお楽しみください。
編集部 髙橋
information
民具 MINGU展
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
会期:2018年12月14日(金)~1月14日(月・祝)
開館時間:11:00~19:00
休館日:火曜日(12月25日は開館)、年末年始(12月26日~1月3日)
観覧料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.2121designsight.jp/gallery3/mingu/