東京ミッドタウン・デザインハブでは9月24日(月・祝)まで、様々な領域のデザインを学ぶ教育機関9校で実際に行われている10の課題内容と、その課題に取り組んだ学生の作品が展示されている「ゼミ展」が開催中です。
京都工芸繊維大学 工芸科学部 デザイン・建築学課程 中野デザイン研究室は「映画ポスターデザイン、フォントデザイン」の課題作品を展示しています。フォントの作品は、長文を組むことを前提としながら、用途や目的を学生個々が設定し、それぞれが洗練されたフォントを制作。フォント完成後はイメージボードを作り、使用用途を分かりやすくビジュアル化しました。どれも実際に使ってみたくなるような個性的なフォントばかりです。
東京工芸大学 広告&ソーシャルデザイン研究室は「社会問題を可視化して、社会に拡散するアイデアを考える。」という課題作品の展示です。
SDGs(「持続可能な開発目標」の略称。2015年の国連サミットで採択されたもので、持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成されている。)から学生が1項目ずつ選び、情報を視覚的に伝える課題です。
こちらは、海の汚染度を体感できるバスボム。浴槽に入れると、汚染度に応じたお湯の状態となり、中から海洋ゴミ排出国の国旗とメッセージが浮かび上がるそうです。汚染度が高いとお湯は濁るものの、使われている素材は海藻エキスなど体に良いものなので、安心して使うことができます。
法政大学 デザイン工学部 システムデザイン学科 インタフェースデザイン研究室は、スチレンボードから切り出した2種類の形状のユニットを、接着剤を使用せずに複数枚組み合わせ、その上に重さ700グラムの鉄球を保持するコンポジションを考える、という1年生に与えられる基礎課題の展示です。見た目の美しさを追求しながらも、実用性や強度を考慮する、デザイン制作に欠かせない能力が身につく課題です。
東京藝術大学 美術学部 デザイン科は2年生の実技課題「くらす」を展示しています。こちらはユニークなアイデア満載の「夢不動産」。実際の写真をもとに、架空の物件を想定して、交通の便や、「くらす」際のメリットやデメリットが紹介されています。物件一覧のページを繰れば繰るほど、その着眼点と発想に驚かされました。
本レポートで紹介した以外にも、慶應義塾大学、女子美術大学、多摩美術大学、東北大学工学部、武蔵野美術大学(順不同)の学生作品が並んでいます。学生たちがデザインを学び研究し、そして、それがやがて「知」として社会に活用されていく、そのプロセスを自分の目で見ることができる、普段とは一味ちがう展覧会でした。
編集部 髙橋
information
東京ミッドタウン・デザインハブ第74回企画展「ゼミ展」
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
会期:2018年9月1日(土)~9月24日(月・振休)
開館時間:11:00~19:00
休館日:会期中無休
観覧料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://designhub.jp/exhibitions/4168/