Hideharu Fukasaku Gallery Roppongiでは9月15日(土)まで太田絵理氏の「太田絵理 個展 -つよさ と しがらみ-」が開催されています。本展のテーマは"(作家が)自身が女性であるからこそ抱く感情"です。
太田氏は「"理想の女性像"や"女はこうあるべきだ"という固定概念、暗黙の了解は自身でも気が付かないくらい自然に存在しています。自分が無意識でしている行動や考え、抱く理想は、実は自分が好きで抱いたものではなく、社会や文化によってそうさせられているのかもしれないと考えた時、とても窮屈で息苦しいと感じました」と作品を生み出すきっかけを語ります。
彼女の作品に多く登場する「髪」は、学生時代からモチーフとして描き続けてきた題材だそうです。"髪は女の命"という言葉がありますが、太田氏の描く"髪"のほつれや、みっしりと束になった様子は、その生々しさから見るものをどきっとさせます。「髪の毛は美しいものでもありますが、床に落ちたとたん嫌なものに変わったり...。その二面性がおもしろいと思い、感情を表すツールの一つとして使っているんです」。
太田氏によると、男性と女性とでは作品を見た際の反応が違うこともあるのだとか。女性から「綺麗」「共感できる」という声があがる作品も、男性からは「怖い」「不気味」など真逆の感想が出ることも。誰かとギャラリーを訪れ、鑑賞後に感想を交換し合うのも本展の楽しみ方の一つです。
作品はどれも、リトグラフという版画の手法で制作されています。版を重ねる行為は、作家がコンセプトと自身の感情とを対話させる大切な時間だそうです。「版表現を用いることで自身の感情に否定と肯定を重ね、取り繕う自分を受け入れつつ、世の中の当たり前のルールにとらわれない、現代社会に生きる新たな女性像を作品で提示していきたいです」と太田氏はコメントしています。
本展では、Hideharu Fukasaku Gallery Roppongiの系列画廊であるFEI ART MUSEUM YOKOHAMA主催の版画公募展「第6回 FEI PRINT AWARD」にて大賞を受賞した作品のほか、繊細で見る者の心を揺さぶるリトグラフ作品が並んでいます。作家が在廊している日もあるので、TwitterやFacebookなどでスケジュールをチェックし、足を運んでみてはいかがでしょうか?
編集部 髙橋
information
太田絵理 個展 -つよさ と しがらみ-
会場:PERROTIN東京
会期:2018年9月3日(月)~2018年9月15日(土)
開館時間:11:00~19:00(最終日は 17:00 まで)
休館日:日曜、祝日
観覧料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.f-e-i.jp