PERROTIN東京では9月12日(水)まで、ベルギー人アーティストであるピーター・ヴェルメッシュの日本で初めての個展が行われています。本展は、物質性を「塗料で無くした」大理石の作品、銅の写真を元にした絵画作品、そしてギャラリーのガラス張りの外装に加えられた絵画的インスタレーションの3部で構成されています。
外側からも内側からも目を引く鮮やかな黄色の作品。こちらは、2001年から取り組む「ワーク・イン・プログレス」シリーズの一環。本作は、外と中とを隔てる膜のような働きを担いつつ、光が差し込むことでギャラリー内を彩る役割も果たしています。
最初はピンクを使う予定だったそうですが、本展への準備を進めていくうちに、自身の作品に対しても、またギャラリーの外側の環境に対しても効果的な色はこの色であるとひらめいたそうです。
大理石に油絵の具を塗る、という大胆な手法で作品を制作しているヴェルメッシュ。絵画と言えば、額縁に収まっているイメージがありますが、彼の作品に額縁は必要ありません。なぜなら、大理石の形そのものが作品の一つだからです。
彼は、キャンバスのように形の整った大理石以外にも、このような歪な大理石を作品として使用しています。作品を横から眺めると、大理石が欠けた跡であろうぎざぎざとした質感を見ることができ、それがより作品の良さを引き出しています。
アートライターであるスチュアート・ムンロは彼の作品について「彼の自己表現力は大理石へ自由に反映させる一方で(中略)場所・物体・素材・ものの見方との対話により展覧会の枠組みを作り上げていきます」とコメントしています。
本展では色の持つ美しさや発想を堪能するだけでなく、作品の材質そのものを楽しむことができます。「不可視なものを目に見えるものにしたい」という作者の言葉を、ギャラリーで体感してみてはいかがでしょうか?
編集部 髙橋
information
PIETER VERMEERSCH
会場:PERROTIN東京
会期:2018年7月11日(水)~9月12日(水)
開館時間:11:00~19:00
休館日:日曜、月曜、祝日
観覧料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.perrotin.com/