現在、国立新美術館では、須藤玲子さん がデザインした約300匹のこいのぼりが展示室をダイナミックに泳ぎまわる「こいのぼりなう! 須藤玲子×アドリアン・ガルデール×齋藤精一によるインスタレーション」が開催されています。
須藤さんは、日本の伝統行事に着想を得たこのインスタレーションを、フランスの展示デザイナーのアドリアン・ガルデールさんとコラボレーションし、2008年にはワシントンD.C.のジョン・F・ケネディ舞台芸術センターで、2014年にはパリのギメ東洋美術館で発表しました。国立新美術館のもっとも大きい展示室を使った今回の新しいバージョンには、クリエイティブプロダクション・ライゾマティクスの代表である齋藤精一さんも加わりました。
展示室に足を踏み入れると、そこには群れをなして泳ぐ色鮮やかなこいのぼりの大群が! 一匹一匹違う色や柄が使われていますが、素材となっているのは須藤さんが全国各地の職人と力を合わせて作り上げたものです。
中には、写真のようにフリンジで覆われた優しい印象のこいのぼりも。本展では、こいのぼりに使われている布を実際に手に取り、それぞれに付けられているタイトルや産地の情報を知ることができたり、ワークシートを使って手軽にこいのぼり制作が楽しめるコーナーも設けられています。
齋藤さんが手掛けたのは、広さ2000平方メートルにも広がる天井の演出。艶やかな軽い布を天井一面に張り巡らせ、その下に光と風を送る装置を取り付けました。布がたなびいて光の反射できらきらと輝く様子は、まるで水中から太陽の光を浴びているかのようです。
本展には、無印良品の「体にフィットするソファ」が置いてあるので、そこに座ったり、寝転んだりして、ゆったりと自分のペースで展示を楽しむことができます。また、写真の撮影も許可されているので、お気に入りのこいのぼりを写真に収め、展覧会のハッシュタグ「#こいのぼりなう #koinoborinow」を付けてInstagramなどにあげるのも楽しみ方の一つです。
須藤さんは本展について「とにかく、空が無限に広がる展示室のなかに、いろんなものの原点を詰め込むという気持ちで展示しています。こいのぼりのそれぞれの違いから『どんなふうに作ったんだろう』と思いながら見ていただきたいです」と見どころを明かしました。
ガルデールさんも、これまでの制作を振り返りながら「私たちは共にこいのぼりをデザインしていた時に、こいのぼり自体から何かを引き出しているように思いました。非常に日本的であると同時に、変化しつつある現代の表現でもあるインスタレーションが出来上がりました」とコメントしています。
5月が近づくと街中などで見かけるこいのぼりですが、ここにいるのは支えの棒や、風がなくても立体的なフォルムを保ち、ただただ自由に泳ぐこいのぼりたち。悠々自適に過ごす彼らを見ながら、ここでしか味わうことのできない「こいのぼりなう!」を体験してみてはいかがでしょうか?
編集部 髙橋
information
こいのぼりなう! 須藤玲子×アドリアン・ガルデール×齋藤精一によるインスタレーション
会場:国立新美術館 企画展示室2E
会期:2018年4月11日(水)~5月28日(月)
開館時間:10:00~18:00
※毎週金・土曜日、4月28日(土)~5月6日(日)は20:00まで
※5月26日(土)は「六本木アートナイト2018」開催にともない、22:00まで
※入場は閉館の30分前まで
観覧料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/koinoborinow2018/