現在、六本木ヒルズ展望台 東京シティビューでは、スペースインベーダーの誕生40周年を記念し「PLAY!スペースインベーダー展」が開催されています。今から40年前の1978年に発表され、世界中でブームを巻き起こしたスペースインベーダー。当時は若者や子どもだけでなく、サラリーマンまでもが、喫茶店やゲームセンターのテーブル型のゲーム機に100円玉を入れ、画面上にピコピコと現れるインベーダーを撃退するこのゲームに夢中になりました。
スペースインベーダーはニューヨークの近代美術館に収蔵されているほか、「初めて宇宙人が登場したビデオゲーム」「最も長くシリーズ化されているビデオゲーム」など複数のギネス記録も持つ、世界的に認められたゲーム、キャラクターとして有名です。
ゲームの開発者である西角友宏さんは、スペースインベーダーのアイディアも開発も、「若かったからできた」と当時を回想していました。「当時発表されたアタリ社の『ブレイクアウト』(ブロック崩しゲーム)がとても面白く、これに負けないゲームを作ろうと思ったんです」と開発秘話を教えてくれました。
「PLAY!スペースインベーダー展」に足を踏み入れ、最初に目に飛び込んでくるのは「SPACE INVADERS GIGAMAX」(プレイ可能時間は日没後17:30以降)。これは縦7メートル×横15メートルの展望台の巨大な窓面に、プロジェクション・マッピングでインベーダーゲームを投影したもの。世界で初めて最大10人同時にゲームを楽しむことができます。
取材した日は雲一つない晴天で、夕暮れには富士山もくっきりと見えるほど。夜になって、東京タワーがオレンジに光る夜景を見下ろしながら行う巨大インベーダーゲームは、まるで東京に襲来したインベーダーを撃ち落としているかのような感覚を味わうことができるものでした。森アーツセンター東京シティビュー代表である松島義尚さんは、「この施設だからこそ見ることのできる東京のパノラマと、スペースインベーダーとの融合を楽しんで欲しい」とコメントしています。
「ARKINVADERS」は、床面に投影されたインベーダーを、同じく投影された架空のボールで蹴って撃墜していく体感型アトラクションです。ボールは同時に何個も出現するため、このゲームも複数人で遊ぶことが可能です。難しいルールなどは一切なく、老若男女問わず誰でも参加できます。
全身を使う「NOBORINVADERS」は、ボルダリングとプロジェクション・マッピングを組み合わせた、新感覚の体感型アトラクション。180インチのクライミングウォールに登りながら、ウォールに投影されるインベーダーたちを叩いてやっつけていきます。やっている本人が楽しめるのはもちろん、見ている人による「もっと右!手を伸ばして!」「足元に出てきてるよ!」などの声かけも生まれ、場が大いに盛りあがります。
「バハムートディスコ feat. SPACE INVADERS」は、前後左右360度に下面90度を加えた"450度"の迫力ある映像空間の中で、ディスコの音楽に合わせて、壁一面に出現するインベーダーを撃退。コントローラーを片手にゲームを行いますが、タイミングが重視されるこのゲームでは、その緊張感からコントローラーを持つ手に汗がにじみます。
京都精華大学マンガ学部キャラクターデザインコース教授であり、漫画「ゲームセンターあらし」の作者でもある、すがやみつるさんによれば、インベーダー誕生前のゲームセンターは、薄暗い不良のたまり場のイメージがあったとのこと。「しかし、スペースインベーダーが一般の人々に大流行したことによって、ゲームセンターがもっと明るい、ファミリーで行けるような場所に変わっていきました」
本展では実際にプレイできるゲームの他、インベーダーのキャラクタースケッチや、その歴史、開発者紹介など様々な展示も行われています。また、スペースインベーダー誕生40周年を記念して、バラエティー豊かなグッズも発売。シルバーペンダントや缶バッジ、トートバッグ、Tシャツなどを購入することができます。
一番の高額商品である「黄金のインベーダー」は、400グラムの純金(K24)を使用した受注販売品。希望すれば名前も刻印してくれるそうです。このインベーダーが攻めてきたら、倒すのに躊躇してしまいますね。
見て遊んで、楽しんだ後にはカフェで一服。スペースインベーダーをモチーフにしたキュートなフードやドリンクを堪能することができます。ノンアルコールの「シューティングカクテル」は、まるでストローをくわえているようなインベーダーが印象的です。鮮やかな赤色の見た目から「イチゴ味なのかな?」と想像して飲んでみたところ、実際には甘すぎない大人のカクテルの味が口に広がりました。
40年前に一人のエンジニアが開発したゲームのデザイン性の高さ、面白さ、そして遊びへの可能性。テーブルで遊んでいたゲームがプロジェクション・マッピングになったり、5Dになったりという進化を経ながら、文化的、経済的に大きな影響を与えているのを間近に感じた展覧会でした。
編集部 月島
information
「PLAY!スペースインベーダー展」
会場:六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー
会期:2018年1月12日(金)~1月31日(水)
時間:10:00~22:00(最終入場21:30)
※SPACE INVADERS GIGAMAXは日没後17:30以降
入場料金:一般1,800円、高校・大学生1,200円、4歳~中学生600円、シニア(65歳以上)1,500円
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します): https://tcv.roppongihills.com/jp/exhibitions/684/index.html