国内外より映画作品と業界人が集う「東京国際映画祭」が、2017年10月25日(水)から11月3日(金・祝)までの10日間、六本木ほかにて開催されました。会期中は映画の上映や舞台挨拶だけでなく、優れた作品への賞の授与、学生・プロ・ビジネス来場者を対象とした貴重なセミナー、シンポジウムやワークショップなどが開かれ、会場は世界各国の人々で賑わっていました。
初日のオープニングセレモニーには、本映画祭のアンバサダーを務める人気女優の橋本環奈さんをはじめ、国内外の有名な俳優、監督がレッドカーペットに続々と登場。ジョルジオ・アルマーニのロングドレスに身を包んだ橋本さんは、「とても緊張しましたが、たくさんの人に囲まれて歩いているうちに、この映画祭が多くの人に注目していただけていることが分かり、嬉しく思いました」と笑顔でコメントしていました。
レッドカーペットはファンや報道関係者で、まさにすし詰め状態。そんな中、出演作品が本映画祭でJapan Now部門「銀幕のミューズたち」として特集される、女優の安藤サクラさん、蒼井優さん、満島ひかりさん、宮﨑あおいさんも登壇。同世代でありながらも、それぞれ違った個性を放つミューズたちに、絶え間なくフラッシュがたかれていました。
次々と現れるビッグスターに「きれい」「かっこいい」の声があがる中、誰もが知るキャラクターもレッドカーペットに登場。そろって蝶ネクタイ姿でフォーマルに決めた彼らは堂々とした様子で、ファンと記念撮影を行うなど、サービス満点の対応をしていました。
オープニングセレモニーでは人でごった返していた六本木ヒルズアリーナですが、セレモニーがない時は「野外上映Cinema Arena」に大変身。その横には、軽食やちょっとした飲み物を提供するキッチンカーも並んでいました。写真の奥に見えるのは、肉好きの間で大人気の「肉山」、愛知県産鴨肉に特化したワイン酒場「鴨一ワイン酒場SUN」、食通のための料理と日本酒で知られる「水炊き 鼓次郎」。このほかにもたくさんのお店が、美味しい匂いを漂わせていました。六本木で秋風に吹かれながら、美食と共に映画を楽しむ...。素敵な時間だと思いませんか?
上映スケジュールなどの確認やチケットの購入は、公式ウェブサイトのほか、六本木ヒルズ内のチケット&インフォメーションのブースも利用することができるシステムで、実際、この日もチケットを購入するためのお客さんがずらり。
また、その隣にはフードデリバリーサービス「ごちクル」が、そば粉にこだわったガレット専門店の「GALETTE STAND」をオープン!ガレットのほかにも、ステーキやラムチョップなど食べ応えのある料理が並んでいて、目移りしてしまいます。食事や待ち合わせだけでなく、上映開始までの時間つぶしに使っている方もいらっしゃいました。
メイン会場の一つである「TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」では、様々なジャンルの映画の上映に加え、舞台挨拶やトークショーも実施され、憧れのスターを生で拝むチャンスにファンは大喜び。チケットが販売開始直後に売り切れとなった作品も多数ありました。
イベントの中でも家族連れに人気があるのは、アニメーション特集である「映画監督 原 恵一の世界」。メインビジュアルは、原監修のもと描き下ろされた特別なイラスト。特集の上映作品を見た人たちは全員、このイラストが表紙を飾る「映画監督 原 恵一の世界 オフィシャルガイド」をプレゼントされていました。
そして最終日には、受賞作品および受賞者が発表されました。本年度は、コンペティション部門の国際審査委員長であるトミー・リー・ジョーンズさんから、「一作観るごとに、必ずミーティングをしよう」という呼びかけがなされ、他の映画祭では考えられないような回数の話し合いが行われていたそうです。
そんな数々の話し合いを経て注目度の高い東京グランプリ/東京都知事賞に選ばれたのは、トルコの映画界でその名を轟かせているセミフ・カプランオール監督による『グレイン』。近未来を舞台にダークなディストピアを描いた本作は、信念や宗教という人間の本質を真っすぐ貫く世界観と、美しい映像が評価され、審査員全員一致での受賞となったそう。
カプランオール監督は、「実は今回の映画は5年という長い旅路を経てきました。そして今回、世界に向かって公開されることになり、ここが出発点になると思っております。私は監督として大地や種子、そして創造されることに敬意を払いながら作品を作りました。この作品を作ることを神が導いてくれたと思っています。ありがとうございます」と、作品作りについて語ると共に感謝の言葉を述べました。
また、一般観客による投票で最も多くの支持を得た作品に贈られる観客賞に輝いたのは、松岡茉優さん主演の『勝手にふるえてろ』。大九明子監督と3度目のタッグを組んだ松岡さんが中学時代の同級生に10年間も片思いしている"絶滅危惧"のヒロイン、24歳のOLを好演して人気を集めました。
大九監督は、「大変小さな現場で、小さな組で、短期集中で仕上げた映画でしたので、まさかこのような賞をいただけるとは思っておらず、ノミネート自体も本当に夢のようで楽しい時間を過ごしました。投票してくださった一人一人に感謝していますし、そういう一人一人のお力があって映画というものを続けてこられたと深く実感しています。映画にしがみついてきて良かったなと思いました」と、監督人生を振り返りつつ受賞の喜びを語りました。
この他にも、審査委員特別賞に『ナポリ、輝きの陰で』、アジアの未来部門の作品賞に『僕の帰る場所』、日本映画スプラッシュ部門の作品賞に『Of Love and Law』など、様々なテーマ、舞台を扱った作品が名誉ある賞を受賞していました。
初日はあいにくの雨だったり、期間中台風も上陸していましたが、どんな天候でも楽しめるのが映画館のいいところ。今回は一人で参加しましたが、次回は友人や家族を連れ、観た映画の感想や目撃したスターの印象を交わし合うのもいいなあ、と感じた素敵な映画祭でした。
information
「第30回 東京国際映画祭」
会場:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、EXシアター六本木ほか
会期:10月25日(水)~11月3日(金・祝)
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://2017.tiff-jp.net/ja/
写真クレジット
「映画監督 原 恵一の世界」メインビジュアル:
(c)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 1988
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