現在、21_21 DESIGN SIGHTでは「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」を開催しています。展覧会名の通り、「そこまでやるのか!」と唸ってしまうような、大胆な発想の「壮大なプロジェクト」が多数紹介されています。
会場に入るとまず、本展覧会で紹介されているプロジェクト概要を示すグラフィックが目に入ります。「連続制作時間96時間」や「500人が入れる風船」、「テープ21,120mの床」などなど...。この言葉だけではプロジェクトの中身が想像できませんが、何やらとてつもないチャレンジであることだけは分かります。
ギャラリー 1に進むと、まず展示されているのが美術家クリストさんのインタビューを交えた「フローティング・ピアーズ」のドキュメント映像。湖面をわたる全長3km、幅16m、高さ50cmほどの湖に浮かぶ桟橋と、島沿いの歩道2.5kmを輝くオレンジの布で覆ったプロジェクトを3画面の迫力ある映像で楽しめます。
クリストさんにとって、作品について説明することも含めて創作活動の一部だそう。約1時間の長い映像ですが、プロジェクトの全容を是非ゆっくりと見てみてください。
ギャラリー 2で一際目立っていたのは、インダストリアルデザイン、コンセプチュアル・アートの領域で活動しているアーティスト集団「ヌーメン/フォー・ユース」の「テープ・トウキョウ02」。透明のテープを1万5千m以上費やしてつくられたインスタレーションで、中に入ることもできます。
中はこのようになっています。
続いて、映像と共に展示されているこの模型は移動式のコンサートホールです。丸みを帯びた不思議な形状は、袋構造を空気で膨らませる風船の原理でつくられているのですが、驚くのはその大きさ。なんと500人もの人が中に入れるそうです。
このプロジェクトは、東日本大震災後に音楽を通して人々を勇気付けようという思いからはじまりました。発起人のミヒャエル・ヘフリガーさん(ルツェルン・フェスティバル総裁)を中心に、磯崎新さん、アニッシュ・カプーアさん、梶本眞秀さんと、多くの人が協働し、デザインされています。本展では、東京ミッドタウンの航空写真を用いて、芝生広場に置いた想定で模型が展示されています。ぜひその大きさ、スケール感を想像しながら鑑賞してみてください。
こちら壁一面に広がる作品は、淺井裕介さんの「土の旅」です。泥や絵の具などを用いて、人間と様々な動植物が織りなす絵画の制作で知られる淺井さんですが、今回の作品には、なんと東京ミッドタウン内で採取された土も加えて構成されているそうです。土の種類によって風合いが全く異なるのが面白いので、土の採取場所をたどりながら絵を鑑賞するのがおすすめです。
本展覧会では、ギャラリー 1・2・3全てが使われているのですが、これは21_21 DESIGN SIGHTでも初の試みです。今年から加わったギャラリー 3では、西野達さんの新作インスタレーションが発表されました。その作品とは、ギャラリー3をまるごと使ったカプセルホテル。
これまでも実現が難しいとされる作品の数々を世に披露してきた西野さんですが、規制の厳しい日本でホテルプロジェクトを行うことはまさに「実現不可能性99%」だったそうです。しかし何度もミーティングを重ねて行く中で、やっと実現不可能性が98%になり、2%の可能性をつないでギャラリー 3をまるごとカプセルホテルに変えるという国内では前代未聞のプロジェクトを成し遂げました。
ホテルにはシャワーも完備しており、7月14日(金)、28日(金)には閉館後の展示空間で実際に作品を体験できるイベントが開催されます。詳しくは、21_21 DESIGN SIGHTのホームページをご覧ください。本サイトでも後日イベントの様子をお届けする予定です。
この他にも、「長さ3,200mの彫刻」や「幅1.35m×高さ45mの教会」など、「そこまでやるか」というコンセプトに違わないプロジェクトが展示されています。ぜひご自身の目で確かめてみてください。きっと私たちの中の"何か"を変えてくれるでしょう。
Information
企画展「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」
会場:21_21 DESIGN SIGHT
会期:6月23日(金)~10月1日(日)10:00~19:00
※六本木アートナイト特別開館時間
9月30日(土)は六本木アートナイトに合わせ、特別に24:00まで開館延長(入場は23:30まで)
休館日:火曜日
入場料:一般 1,100円、大学生 800円、高校生 500円、中学生以下無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):http://www.2121designsight.jp/