六本木エリアのギャラリーを編集部スタッフの目線で紹介する「六本木ギャラリー探訪」。今回は、六本木通り沿いの麻布警察署の脇を曲がった少し先にある、complex665ビル2Fの「小山登美夫ギャラリー」を訪ねました。日本の現代アート界を牽引し続けてきたギャラリーが、昨年10月にこの六本木へ移転。そこには都会の只中にいることを忘れさせてくれるような空間が広がっていました。
ギャラリーの中に入るとすぐに、真っ白な壁に囲まれた空間が広がっていました。外の喧騒から一転、あまりの静けさに思わず驚くスタッフ一同。出迎えてくれたのは、"もの派"を代表するアーティスト菅木志雄さんの作品。ちょうど個展「分けられた指空性」が開催されていました(6/10[土]まで)。
今回お話してくださったのは、小山登美夫ギャラリースタッフの金崎さん。
「ギャラリーは敷居が高いと思われる方も多いのですが、スタッフへ気軽にお声がけいただければ作品や作者の解説をさせていただきます。美術館に比べ、より近い距離で作品を楽しむことができるのが魅力です。あとは作品を購入することができ、値段がついているのも、美術館とは違う面白いポイントかもしれません。」
「小山登美夫ギャラリーでは、ジャンルなどにとらわれず、ギャラリストの小山が良いと思った作家を幅広く扱っているのが特徴です。小山は毎年、数多くの芸術大学系の卒業制作を見に行くなど、若い作家さんも精力的に発掘しています。ですから、所属している作家の年齢層は巨匠から若手の作家までかなり幅広いんです。」
また、国境をこえて様々な作品を扱う小山登美夫ギャラリー。「先日も、ブラジルの作家パウロ・モンテイロや、チリの作家フェルナンド・カサセンペーレの日本初個展を行いました。どちらも大変好評でした。」
現在行われているのは冒頭でも紹介した、菅木志雄さんの個展。60〜70年代に興った芸術運動"もの派"の代表的な作家の一人です。「国内ではもともと知られた作家ですが、ここ5年ほどで世界中から注目が高まっているんです。今年のヴェネチアビエンナーレに出展したり、ニューヨークのDIA財団で個展を開くなど精力的な活動をされています。」
「菅さんは73歳ですが、作品を初めてご覧になる方には『若い作家さんですか?』とおっしゃる方がいるほど、フレッシュな感覚をお持ちです。展覧会ごとに必ずなにか新しい要素を盛り込まれるんです。一方で、数十年に渡って制作活動を続けられているので、研ぎ澄まされた技術や感覚で洗練された印象もあります。」
菅さんが一貫したテーマを追求されているのがわかる場所があるんです、と案内してくださったのは最初にお話を伺ったお部屋。「2015年以降の作品が飾られているこのお部屋に一つだけ80年代の作品が紛れているんです。わかりますか?」と問う金崎さんの狙い通り、編集部員には見分けが付かず......。みなさんも是非、実際に足を運んでトライしてみてください。
最後に「デザイン&アートの街」としての六本木についてお伺いしました。
「六本木にギャラリーが引っ越してきてから、美術館の帰りに立ち寄られる方や、海外からのお客様がすごく増えました。同じcomplex665の建物の中にもタカ・イシイギャラリーと、シュウゴアーツがあり周辺の建物にもたくさんギャラリーがありますので、アートを楽しみたい方にはぴったりの街だと思います。」
駅から小山登美夫ギャラリーに向かう間にもたくさんのギャラリーが並んでおり、全てのギャラリーを巡ろうと思うと1日では足りないのでは、と思うほど。気になるギャラリーがあれば、気負わずふらりと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
information
「小山登美夫ギャラリー」
住所:東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
TEL:03-6434-7225
開廊時間:11:00~19:00
休廊日:日曜、月曜、祝祭日
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):http://tomiokoyamagallery.com/