トラフ建築設計事務所(以下、トラフ)のクリエイションの内側に迫る展覧会「トラフ展 インサイド・アウト」がTOTOギャラリー・間で開催されています。トラフは、クリエイターインタビューにも登場した鈴野浩一さんと禿真哉さんによる建築家ユニット。12年間の活動において手掛けたプロダクツをはじめ、スタディ(建築設計における思索の過程)や製作のヒントとなった素材などが展示されています。
通常、TOTOギャラリー・間で開催される展覧会は、2つの展示室と中庭を使って行われるのですが、「トラフ展」ではギャラリーが入居するビルの他フロアも利用。1〜100まで番号が振られた作品が随所に展示され、宝探しのように楽しめる構成です。
ビルの1階と地下1階にある、主に輸入水まわり製品を展示するセラトレーディング・ショールームでは、トラフの代表作品「空気の器」を900個使ったインスタレーションを展開。儚げなイメージのある紙の器が無数に存在することで幻想的な世界を描き、観る者を圧倒します。
メインスペースとなる第1展示室には、巨大なテーブルが鎮座。その上に、これまでトラフが手掛けたプロダクトや建築模型、スタディの過程、試作中のプロトタイプ品などが集結していました。
こちらは「テンプレート イン クラスカ」1/20模型。トラフ誕生のきっかけともなった、目黒にあるホテルクラスカの客室3部屋のリノベーションを手がける際に制作されたものです。
並べられたクリーム絞りの口金は、よく見ると口の部分がさまざまな形にカットされています。一体何かと思えば、これらを住宅の屋根に見立て、光の入り方を観察するためのものだそう。
床に目をやると、それぞれの光の入り方がしっかりと映し出されていました。こんな身近なものを使って、設計のヒントを得ているんですね。
こちらは「港北の住宅」1/30模型。この模型を屋外で観察して、陽の入り方を検証したのだそう。そしてこの模型の中にはレールが通っているのですが......。
建築模型が並ぶテーブルの上を街に見立て、ミニチュア車両「トラフ号」が走っています。さらに驚きの仕掛けがあるのですが、それについてはまた後ほどご紹介。
トラフ号が走る様子は、「予告動画」としてYouTubeで公開されています(URLをクリックすると外部サイトへ移動します:https://youtu.be/zddbEERFqzc)。
壁には、「空気の器」のスタディの展示も。振られた番号を追うと、制作経過を辿ることができます。切り込みの幅や形など、試行錯誤した様子が伺えますね。
トラフがインスピレーションを受けた「素材」の展示も見逃せません。 壁面に吊るされた伸縮する金網は、実際に触ることも可能。上下左右に伸び縮みする不思議な感触に夢中になってしまいました......。
中庭を通って上のフロアに移動すると、第2展示室では、映像作品「インサイド・アウト」が上映中。実はこの映像、先ほど紹介した「トラフ号」に搭載されたカメラで撮影したもの。ここに来てミニチュア車両の役割にようやく気づきました! ちなみに、観覧者が座る「段々ベンチ」も作品のひとつです。
ビル内にあるBookshop TOTOでは、展覧会カタログ『トラフ建築設計事務所 インサイト・アウト』や、TOTOギャラリー・間オリジナルデザインの「空気の器」を販売。水をテーマにした3つのデザインが並んでいました。
「トラフ展 インサイド・アウト」は、その名のとおり、トラフの内側をとことんオープンにした展覧会。建築の枠を超えたバラエティに富んだ内容は、彼らの活動をよく知る人も、初めて触れる人もきっと楽しめると思いますよ!
編集部 五十嵐
information
「トラフ展 インサイド・アウト」
会場:TOTOギャラリー・間
会期:10月15日(土)~12月11日(日)
開館時間:11:00~18:00
休館日:月曜・祝日
入場料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.toto.co.jp/gallerma/ex161015/index.htm