俵屋宗達、本阿弥光悦が京都で創始した日本画の流派「琳派」。クリムトやウォーホルなど海外の作家にも影響を与えたという、デザイン性・装飾性の高い様式が特徴です。鈴木其一は、江戸時代後期に琳派を江戸に定着させた、"江戸琳派の旗手"。本展は其一の画業の全容を捉えた回顧展、その内見会時の様子をお届けします。
解説によれば、「鮮烈な色彩、大胆な構図、豊かなデザイン性を有し、現代にも通じる斬新さにあふれて」いるのが鈴木其一の作風。琳派の絵師たちの中でも長く異端とされてきたものの、近年は評価が非常に高まっているのだそうです。
展示構成は全5章。江戸琳派の祖・酒井抱一への弟子入りから、多くの弟子たちを育て上げた晩年まで、其一の生涯と画風の変遷をたどる構成になっています。
琳派では花鳥風月を題材にすることが多いそうですが、其一が描くとこんな感じに。左右はそれぞれ対になった作品で、対照的なデザインが効いています。
其一はいわゆる「奇想の人」としても知られていて、独自の着想の作品も多く描いています(それゆえ異端扱いされてきたそう)。写真はやはり江戸琳派の主要なモチーフを描いていながら、画面構成がユニーク。
たくさんの作品の中で、個人的にぐっときたのがこちら、写真中央の「日出五猿図」。5匹の猿が手をつないで輪になっているという、ユーモアがあってなんともかわいらしい作品。現代的でデザイン性が高いという評価もうなずけます。
さて、本展には目玉作品がいくつか出展されていますが、そのひとつがこれ。展覧会のメインビジュアルにもなっている「朝顔図屏風」です。
普段はメトロポリタン美術館に収蔵されていて、展示のたびに人気を博すのだとか。日本ではなかなかお目にかかれない其一の傑作、ぜひこの機会に見ておくことをおすすめします!
そのほか、琳派の主要な画題を、ふすまの大画面に再構成した「風神雷神図襖」(10月5日から展示)や......。
晩年に描かれた近代的な作品「藤花図」(10月3日まで)などなど、見どころがたくさん。期間中は展示替えが行われますので、気になる作品は公式ウェブサイトで展示期間のチェックを。約220点とたくさんの作品が展示されているので、時期を変えてリピートするのもおすすめですよ。
編集部 飯塚
information
「鈴木其一 江戸琳派の旗手」
会場:サントリー美術館
会期:9月10日(土)~10月30日(日)
開館時間:10:00~18:00(金・土は~20:00)
※9月18日(日)・21日(水)、10月9日(日)は20時まで
※10月22日(土)は「六本木アートナイト」のため22時まで開館
※火曜休館
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_4/index.html