六本木ヒルズの森美術館で、現在、「宇宙」をテーマにした展覧会が開催されています。「六本木に『宇宙の入り口』できました。」というキャッチコピー、気になりますよね。宇宙と聞くと、思い浮かべるのはスペースシャトルやビッグバンなど、科学技術や理論。そんなテーマが、芸術とどう結びつくのでしょうか? その内容をレポートします。
「宇宙と芸術展 かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ」は、「人類が続けてきた宇宙の探求を、芸術史・文化史的な視点で振り返る展覧会」。宇宙とは、科学や哲学だけでなく、さまざまな芸術の中でも表現されてきた、古くて新しいテーマなんです。ダ・ヴィンチら科学者の資料、現代アート、現代の科学技術から荒俣宏さんのSF雑誌まで、あらゆる切り口から宇宙を探究しています。
たとえばこの「両界曼荼羅」。曼荼羅とは仏教の世界観を象徴的に表現したもので、古来の宇宙の表現といえます。描かれたのは中世、当時の人はこれを見て「ほほう、宇宙ってこうなってるのか!」なんて思ったのかもしれません。
歴史的な資料も展示されています。これはガリレオ・ガリレイの著作の初版本。地動説を唱え、「それでも地球は動いている!」と叫んだという逸話が残る、いわば宇宙研究の先駆者です(ちなみに、逸話は後世の創作だそうです)。
現代アートも負けていません。写真家、ヴォルフガング・ティルマンスは、超大型望遠鏡で写し出した深宇宙や コンピューターによる解析画面などの写真を組み合わせたインスタレーションを、本展のために制作。
この巨大なオブジェは、ブラックホールと多次元宇宙を表現した「ブラックホール(M-領域)」という作品(ビョーン・ダーレム)。木組みの輪がそれぞれ次元や銀河を表しているとのことで、いわばこれは現代版の立体曼荼羅。蛍光灯が光って、宇宙っぽさ満点。
現代の宇宙開発の取り組みも多数紹介されています。写真は、現在開発中の月面探索ローバー。製作しているのは、Googleがスポンサーを務める月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に、日本から唯一参戦している「HAKUTO」。2017年夏の打ち上げを目指しているそうです。
そして、展覧会のタイトルにもあるように、最後に用意されているのがチームラボのこの作品。音楽に合わせてカラスが飛び回る擬似3D空間に入って鑑賞するというインスタレーションです。まさに宇宙を体験できるすごい内容なのですが......。
実際に中に入って写真を撮ってみるとこんな感じ。写真ではどうしても伝えきれないこのライブ感、ぜひ実際に足を運んで体験してください。
紹介した以外にも、見どころはまだまだたくさん。宇宙という巨大なテーマに挑んだ意欲的な展覧会、誰もが必ず刺激を受けるはず。来年まで開催されていますので、みなさんもぜひ宇宙へ旅立ってみては?
ちなみに、展覧会開催に合わせて、森美術館館長の南條史生さんが次回クリエイターインタビューに登場します(9月7日(水)公開予定)。こちらもどうぞお見逃しなく。
編集部 飯塚
information
「宇宙と芸術展 かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ」
会場:森美術館
会期:7月30日(土)~2017年1月9日(月・祝)
開館時間:10:00~22:00
※火曜は17:00まで、六本木アートナイト2016開催に伴い、10月21日(金)は翌朝1:00まで、10月22日(土)は翌朝6:00まで。会期中無休。
入場料:一般 1,600円、学生(高校・大学生)1,100円、子ども(4歳〜中学生)600円
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.mori.art.museum/contents/universe_art/index.html