現在、国立新美術館で開催中の「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」は、ヴェネツィアの「アカデミア美術館」の名画約60点が集まった展覧会。これまでルネサンス期のヴェネツィア絵画に焦点を当てた展覧会はほとんど例がないそうです。最大の見どころは、巨匠ティツィアーノの晩年の大作「受胎告知」。その様子をお届けします。
展示は全5章で構成。15世紀から17世紀初頭までのヴェネツィア・ルネサンスの歴史を名画で辿っていきます。登場するのは、いずれも巨匠とうたわれるレベルの画家たち。以下、各章の代表的な作品とともに、展覧会をたどります。
第1章「ルネサンスの黎明―15世紀の画家たち」に並ぶのは、初期ルネサンス絵画の作品。その冒頭を飾るのがこの作品で、ジョヴァンニ・ベッリーニはヴェネツィア派の礎を築いた代表的な人物。中でもこの作品は傑作と言われているそうです。雲の上の真っ赤な天使たちがちょっぴり怖いですね。
第2章は「黄金時代の幕開け―ティツィアーノとその周辺」。ヴェネツィア絵画に革命をもたらしたといわれる、"色彩の魔術師"ティツィアーノの作品が並びます。ここで、早くも目玉作品「受胎告知」が登場! 祭壇画として描かれた作品のためか、一部屋をまるまる使って、当時を思わせる高い位置に展示されていました。
この絵画、高さはなんと4m以上という大作。ご存知のとおり、「受胎告知」とは聖母マリアがイエスの誕生を告げられるというシーン。絵の巨大さも相まって、なんとも劇的! まるで演劇を観ているかのよう。
続く第3章「三人の巨匠たち―ティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノ」は、タイトルにもあるように、ティツィアーノの次の世代を担った3人の画家が主役。写真はそのうちのひとり、ティントレットの作品で、聖母が天に昇ろうとする瞬間を描いたもの。デビュー間もない頃の作品でこの上手さ、さすが巨匠です。
第4章は「ルネサンスの終焉―巨匠たちの後継者」と、ちょっぴり寂しいタイトルが。紹介されているのは、先の3人の巨匠のあとを継ぎ、ヴェネツィア・ルネサンスの最後を彩った作家たち。特に写真のパドヴァニーノは、次のバロック様式との過渡期にある作風が特徴なのだそう。
そして最後、第5章は「ヴェネツィアの肖像画」。ここには、ルネサンス時代全般にわたる肖像画の作品が集められていました。ヴェネツィアの肖像画は、その質の高さから、以後の肖像画制作のモデルとなっていったそうです。
ヴェネツィア・ルネサンスの画家たちの持ち味は、「自由奔放な筆致による豊かな色彩表現、大胆かつ劇的な構図」にあるとのこと。ティツィアーノの「受胎告知」をはじめとして、たしかにどの作品もドラマティック。10月10日(月・祝)まで開催されていますので、気になる方はぜひ。
編集部 飯塚
information
「日伊国交樹立150周年特別展 アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」
会場:国立新美術館
会期:7月13日(水)~10月10日(月・祝)
開館時間:10:00~18:00(入場は18:30まで)
※火曜休館、ただし8月16日(火)は開館。
金曜、8月6日(土)、13日(土)、20日(土)は20:00まで
入場料:一般 1,600円、大学生 1,200円、高校生 800円
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.tbs.co.jp/venice2016/