フランスにおいて、「建築」「彫刻」「絵画」「音楽」「文学」「演劇」「映画」「メディア芸術」に続く"第9の芸術"とされているマンガ。フランスではバンド・デシネ(BD)と呼ばれ、大衆的な作品から絵画のような技巧に富んだ作品まで、アートとしても親しまれています。「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」 は、マンガという表現技法を通してルーヴル美術館の魅力を伝える企画展。その内覧会の様子をどうぞ。
内覧会当日は、出展作家陣が壇上に集まってごあいさつ。プレートを手にしているのは、音声ガイドを担当した声優の神谷浩史さん(左)、「展覧会ミューズ」の菜々緒さん(右)、総監修者のファブリス・ドゥアールさん(右)。
「美術館がバンド・デシネの展覧会を行うのは世界で初めて」とはファブリスさんの言葉。さて、気になるその展示内容は......。
入り口では出展作家を紹介。著名なバンド・デシネ作家に加え、荒木飛呂彦さん、松本大洋さんなど人気マンガ家の名前がズラリ。それぞれがルーヴル美術館をテーマした作品を出展しています。見どころはたくさんありますが、ここでは気になった作品をいくつかご紹介。
最初に出迎えてくれるのは、ルーヴル美術館に所蔵されている、ご存じ「サモトラケのニケ」(のレプリカ)。その周りにはマンガ原稿が舞っていて......。今回の展覧会を象徴するインスタレーションです。
マンガは実際に読めるよう、並べて展示されています。こちらはバンド・デシネ作家のフィリップ・デュヒュイさんの作品。原稿の下のプレートには、日本語訳も付けられていて親切。
谷口ジローさんは、ドラマ化され話題になった『孤独のグルメ』の作者。バンド・デシネの影響を強く受けているそうで、フランス政府の芸術文化勲章「シュヴァリエ章」を受章するなど、国内外で高い評価を得ています。
まるで迷宮のような空間に展示されていたのは、マルク=アントワーヌ・マチューさんの作品。その内容は、展示空間同様に、黒と白のコントラストが効いた絵と幻想的な物語が特徴です。
『鉄コン筋クリート』などの作品で知られる松本大洋さんは、ルーヴル美術館に住むネコの物語を執筆。現在、『ビックコミックオリジナル』で連載中。
展示の全体はこんな様子。マンガのコマを拡大し、壁面全体にレイアウトされています。マンガはもちろん展示方法もそれぞれ個性的で、多彩に楽しめるのが本展の特徴。
特に目を引いた展示がこちら。『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズで知られる荒木飛呂彦さんの作品の特徴「擬音」を立体化! まるでマンガの世界に入り込んだような気分が味わえます。
そのほか、バンド・デシネ界の大御所、エンキ・ビラルさんの「モナ・リザ」をモチーフにした作品や......。
同じく「モナ・リザ」をテーマにした、第14回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞した坂本眞一さんの作品などなど、紹介したい展示はたくさん。総勢16名のクリエイターが描く"9番目の芸術"マンガ、ぜひ時間をとって、この夏にじっくり"読んで"みてください。
編集部 飯塚
information
ルーヴル美術館特別展「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」
会場:森アーツセンターギャラリー
会期:7月22日(金)~9月25日(日)
開館時間:10:00~20:00 ※入館は閉館の30分前まで
※会期中無休
入場料:一般 1,800円、高・大学生 1,200円、小・中学生 600円
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.fujitv.co.jp/events/manga-9art/