六本木未来会議に登場してくれたクリエイターのみなさまが推薦してくれた本を毎週紹介していきます(紹介する本の一部は2014年に開催した「森の学校」の図書室と、2015年に開催した「六本木ブックフェス」でも展示したものです)。
今回は、藤原大さんが選んだ、『風土―人間学的考察』(著 和辻哲郎/角川書店)。
藤原さんのコメント
学生時代、複雑な社会背景がある国のことがわからなくて、和辻哲郎さんのこの本に出会いました。読んだ時、その国に行ってもいないのに、なんとなく理解できた気持ちになって、すっきりした思いがありました。この六本木でもそこに住んでいる土着の人がいて、外から風のようになびいてやってくる人も大勢いて、去ってゆく。風土とは、風と土が交わることでその土地の環境を表す言葉ですが、影響を受ける人がそこに存在します。この本は、アフォーダンスについても、その理解をつなげてくれる本です。
私たちは普段自らの存在を疑わずに生きていますが、あらゆる人はその生まれた土地の風土・歴史的規定を受けて存在している、と和辻氏は論じています。80年も前に著された本書ですが、グローバルな視野が求められる現代において、それぞれの風土に生まれ育った人間の差異を認めることの必要性を説いているような気がします。
藤原さんのインタビューもあわせてどうぞ。
クリエイターインタビュー #67
藤原大(クリエイティブディレクター)
http://6mirai.tokyo-midtown.com/interview/67/