森美術館が3年に一度開催する"日本のアートシーンを総覧する定点観測的な展覧会"「六本木クロッシング」が開催中です。今回は、日本、韓国、台湾の4人のキュレーターが選んだ20組のアーティストが登場。グローバルな視点から検証した最前線の日本のアートとは? その内覧会の様子をお届けします。
こちらは出展者のみなさん。日本在住の日本人作家はもちろん、海外在住の日本人、日本を拠点とする外国人など、国際色豊かな顔ぶれが並びます。以下、多彩な展示作品の中から特に印象的だったものをご紹介。
片山真理さんの「you're mine #001」は、本人の姿を写した作品。9歳で両足を切断、義足で生活しているアーティストで、東京藝術大学で写真を学び、表現を飛躍的に発展させたそう。2012年の「アートアワードトーキョー丸の内」でグランプリを受賞、2013年には「あいちトリエンナーレ」に最年少で参加と活躍しています。
2014年に木村伊兵衛賞を受賞した石川竜一さんによる展示は、沖縄の人々のポートレイト。写真集『okinawan portraits 2010-2012』(赤々舎)と同シリーズからセレクトされた写真、奥のブラウン管に映し出されるスライドで構成されており、展示されている写真はすべて今回が初公開とのこと。
インスタレーション「トーキング・ライツ」の作者は、あいちトリエンナーレ2016のコンセプトビデオや、音楽家・蓮沼執太さんのミュージックビデオを手がける山城大督さん。内容は、太鼓やしゃもじが動くという、演劇的なものです。
上映中はこんな感じ。暗幕で囲まれたブースで、さまざまな表情の光が照らす中、谷川俊太郎さんの詩の朗読が流れ、太鼓やしゃもじが動きだし......。こちらは15分刻みで常時上映中。
参加者が色も形もさまざまなボタンを投げて的に乗せるゲームのような野村和弘さんの作品「笑う祭壇」。私も挑戦しましたが、投げることすらままなりませんでした。成功した人は申し出れば、名前や日時が貼り出されるとのこと。
映像作品が多いのも特徴的で、写真は志村信裕さんの「見島牛」という作品。YCAM(山口情報芸術センター)があることなどを理由に山口県に移住した作者が取り組んだ、同県の離島にいる天然記念物指定の牛を追ったドキュメンタリーです。
ベルリンを拠点とする日本人アーティスト、ナイル・ケティングさんは、「電力」をキーワードに、光や映像、プラズマを用いた作品を展示。東京都現代美術館の展覧会「"TOKYO-見えない都市を見せる"」展ではユニット「EBM(T)」のひとりとして、キュレーターも務めました。
こんな巨大な作品も。作者は西原尚さん、タイトルは「ブリンブリン」。黒い物体がベルトコンベアに載せられ上がっていき、ビニールシートに落ちてはまた上がって......という作品です。
訪れた日には、作者本人による楽器パフォーマンスも行われていました。西原さんは「音楽を聞いた時やうれしい時などに自然に体が動く仕組みについて考えてきた」そうです。
「僕の身体、あなたの声」という副題のとおり、体験型の作品などを通して「身体性」が感じられ、観る人それぞれの「今」とリンクした感覚が味わえる「六本木クロッシング2016展」。ちなみに私の場合、単純に「そういえば最近、体を動かしてないな」と思いました......。
編集部 飯塚
information
「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
会期:会期:3月26日(土)~7月10日(日)※無休
開館時間:10:00~22:00
※火曜は17:00まで、ただし5/3(火・祝)は22:00まで。
いずれも入館は閉館の30分前まで
入場料:一般 1,800円、学生 1,200円、子ども(4歳〜中学生)600円、シニア(65歳以上)1,500円
http://www.mori.art.museum/contents/roppongix2016/