毎回、新しい視点でデザインの企画展を開催している21_21 DESIGN SIGHT、現在開催しているのは「雑貨展」。考えてみれば、これほど身近なのに、その範囲が曖昧なジャンルもそうありません。拡大し続ける「雑貨」の世界を日本独自の文化と捉え、その魅力を探る展覧会のプレスプレビューの様子をお届けします。
最初の展示は、山盛りの商品を荷車に載せて売り歩いた昔の「行商」を再現したもの。その隣りには、取材を受けているディレクターの深澤直人さんと、グラフィックを手がけた葛西薫さんの姿が。
「ディレクターズメッセージ」に「『雑貨』という美学に焦点を当て、共にその魅力を語り合ってみることがこの展覧会の目的である」とある通り、展示を観つつ、おふたりであれこれと語り合っていました。
続いての展示は「雑貨のルーツ」。「バウハウス」「北欧デザイン」「民藝運動」「工業デザイン」などなど、雑誌の「雑貨特集」などでよく目にするような15のキーワードから、その歴史的背景を探ろうという試み。
こちらは「暮らし方冒険家」による「終わらない自問自答」と名付けられたYES/NOチャート(ちなみにデザインは長嶋りかこさん)。「『理想の暮らし』は買いたい」という質問からスタートして進めると、おすすめのライフスタイルを提案してくれるという仕組み。私がやってみたところ、なぜか「結婚キャンプ」にたどり着きました......。
さて、ここからがいわば本番。広いフロアに並べられた、これでもかという量のモノ、モノ、モノ......。写真は展覧会企画チームによる「雑貨展の雑貨」という展示。「自分自身の『雑貨』のイメージを膨らませてみませんか?」ということで、たくさんの雑貨が並べられていました。
ナガオカケンメイ+D&DEPARTMENT PROJECTは「コンビニエンスストア」をテーマに。「家にある『必要以上に複数ある使っていない生活用品』」を集めたそうで、たしかに缶切りや木工ボンドなど、心当たりのあるものが......。
「All the Best Rubbish」と題したこちらの展示は、平林奈緒美さんによるもの。文字や刻印が入っていることで魅力を増したという雑貨が集められていました。ちなみに「Rubbish」とは「ガラクタ」という意味。
そのほか、製造された国ごとに分類した展示があったり......。
おびただしい数のパッケージのコレクションがあったりと、展示内容は実に多彩。
中でも、個人的に惹かれたのが「雑種採集」と題されたこちら。「生活の達人によって生み出された雑種的なモノや状況を捉えたリサーチ」ということで集められた、ティッシュの空き箱をリメイクした小物入れ、要らなくなったCDを再利用した鳥よけなどなど......。言われてみればたしかにこれらも雑貨。その奥深さを実感させられました。
展示されている雑貨のいくつかは、1Fのショップスペースで購入することもできます。その名も「雑貨店」をプロデュースしたのは、バイヤーの山田遊さん。雑貨って、なんといっても「気軽に買える」ことが最大の魅力なのかもしれませんね。
編集部 飯塚
information
「雑貨展」
会場:21_21 DESIGN SIGHT
会期:2月26日(金)~6月5日(日)※火曜休館(3月15日、5月3日は開館)
開館時間:10:00~19:00 ※入場は18:30まで
入場料:一般 1,100円、大学生 800円、高校生 500円、中学生以下無料