2016年最初の展覧会レポートは、現在サントリー美術館で開催中の「水 神秘のかたち」展。その名のとおり「水」のもつ精神性をテーマに、龍神や弁才天など水にかかわる神仏などの彫刻、絵画、工芸を一堂に集めた展覧会です。その内覧会におじゃましてきました。
まずは、「水への信仰」の最古の表れともいえる「流水文銅鐸」。紀元前1から1世紀の弥生時代のもので、本体表面には水の流れをかたどった「流水文」が描かれています。日本と水の関わり、想像していた以上に深そうです。
こちらの「十一面観音立像」は、流木でつくられたという伝承がある長谷寺の本尊、十一面観音像を模してつくられたもの。所蔵するパラミタミュージアムの館外では初公開となります。
水に関わりのある神仏といえば、この弁天さまも欠かせません。もともとは河を神格化したヒンドゥー教の女神で、日本でも多くが水辺に祀られています。初詣でお参りしたという人も多いのでは?
この「善女龍王像」は、なんと国宝。平安時代、空海が雨乞いをしたときに現れた姿を描いたものだそうです。ちなみにこちらは1月11日(月)までの展示。実物を観たい方はお急ぎを!
水にまつわる伝承にまつわる絵巻物も。ご存じ、七夕伝説を描いた「天稚彦物語絵巻」では、天稚彦(=彦星)は海龍王の化身。天の河と聞くと星を思い浮かべますが、たしかに「河」なので水に関係していますね。こちらも1月11日までの展示です。
この見事な屏風絵は「四天王寺住吉大社祭礼図屏風」(1月11日まで展示)。四天王寺の近辺では、清水が湧いて「天王寺七名水」と称されたそうです。このほか日吉山王祇園祭礼図屏風など、水の聖地にまつわる屏風絵がたくさん展示されていました。
ここで紹介したほか、なかなか見られない作品が集まっているのも本展の特徴。大阪・本山寺の秘仏「宇賀神像」は、写真のように内覧会では公開予定となっていましたが、1月7日(木)から実物を公開中。人頭蛇身のかなりインパクトのある見た目だそうですよ。また、1月27日(水)からは国宝「扇面法華経冊子」も公開予定です。
水にまつわる日本美術にたっぷり触れて、清々しい気持ちになれるこの展覧会は年始にぴったり。2016年の"美術館はじめ"はぜひこちらで。
編集部 飯塚
information
「水 神秘のかたち」
会場:サントリー美術館(東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階)
会期:2015年12月16日(水)~2016年2月7日(日)
開館時間:10:00~18:00
※金・土および、1月10日(日)は20:00まで
休館日:火曜日
入場料:一般 1,300円、大学・高校生 1,000円、中学生以下 無料