六本木ヒルズ森タワー53Fにある森美術館が、約4か月間の改修工事期間を経て、ついに2015年4月25日にリニューアルオープン!ますます高機能化された展示空間に加え、3つの小プログラムを開催するMAMスペースが新設され、ますます六本木のアート発信拠点としてパワーアップしています。
そして同時に、リニューアル後第一回目の記念すべき展示、「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」が始まりましたので、その一部をレポートします。(会期は7月5日(日)まで)
訪問日がプレス内覧会ということで、たくさんのメディア関係者が集まっておりましたが、今回はいつも以上の大人数になっていたように感じます。リニューアル後の最初の展覧会ということで、なお一層気合が込められた展示が見れそうだと、みなさん期待を寄せていた証拠なのかもしれませんね。
さて、古今東西の"シンプルなかたち"が約130点も展示されている本展。古くは先史時代の石器から、現代アーティストによる先鋭的なインスタレーションまで、ありとあらゆる時代・国・文化の枠を超えて、様々な作品が同じ一つの空間の中にキュレーションされています。
そしてそこに描き出されるのは、"時空を超えた普遍的な美"。
まるでタイムトラベラーにでもなったような気分で、人類史の中から選りすぐられた"単純で美しい形"の多様性を味わい、感じ、学ぶことができるのが、今回の展覧会の一番の特徴かと思います。
リニューアル前と同様、六本木ヒルズのワンフロア分の広大な森美術館をぐるっと回遊していく形式で、展示が進んでいきます。
また本展示は、以下の9つのテーマに沿ってエリアが区分けされています。
1.形需上学的風景
2.孤高の庵
3.宇宙と月
4.力学的なかたち
5.幾何学的なかたち
6.自然のかたち
7.生成のかたち
8.動物と人間
9.かたちの謎
それでは、いくつか展示内容をご紹介します。
セクション3.「宇宙と月」
印象的だったのが、オラファー・エリアソンのインスタレーション。世界と世界の根底に存在する諸力との調和を象徴した作品、「丸い虹」には、しばし心を奪われてうっとりと作品を眺めさせられてしまう引力がありました。ぜひ会場で実物をご体感ください。
そしてぞくぞくと続きます...
セクション4.「力学的なかたち」
セクション5.「幾何学的なかたち」
セクション8. 「動物と人間」
ここで、個人的にお薦めしたいのが、パブロ・ピカソの「雄牛」。(写真は著作権の関係で掲載が難しいため、ぜひ本物を会場にてご覧ください!)
6連のリトグラフの作品(本来は11連作)が、左から右にいくにつれ、描かれる雄牛がよりシンプルで図式的なかたちへと単純化されていきます。
そして興味深いのは、あのアップルの創業者であるスティーブ・ジョブズが、この作品を引き合いに出して、彼のデザイン哲学の神髄を語るために用いていたのだとか!ピカソとジョブズにそんな接点があったという点でも一つ驚きですが、シンプルで美しいかたちを突き詰めていくと、アートとデザインには境界線がなくなって同じ見解に行きついてしまう例として非常に面白く感じました。
セクション9.「かたちの謎」
スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』に出てくるモノリスにインスピレーションを受けた、触れると振動するミステリアスな多面体作品などが展示されていて、人智の理解を超えた神秘が宿るその存在感には、揺さぶられるものがたくさんあります。
>PH012
出口には年表と過去の展覧会ポスターがずらり!各展覧会の名シーンが蘇ってきてしまいます。
会期終了まで残り2か月を切りましたが、何度でも行きたくなりそうな「シンプルなかたち展」。今なら年間パスが半額になるキャンペーンも行われているので、こちらもぜひお見逃しなく!
http://mori.art.museum/jp/passport/index.html
(編集 K)
【Information】
会期
2015年4月25日(土)~2015年7月5日(日)
開館時間
10:00~22:00(火曜日のみ、17:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
休館日
会期中無休
入場料
一般1,800円、学生(高校・大学生)1,200円、子供(4歳-中学生)600円、シニア(65歳以上)1,500円
お問い合わせ先
03-5777-8600(ハローダイヤル)