国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展」は、フェルメールの傑作「天文学者」など約80点の名画が集まった展覧会。すでに入場者数が30万人を超えたという同展の様子をレポートします。
展示の副題は「日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」。16世紀初頭から19世紀半ばまでの風俗画の歴史をプロローグと全6章でたどるという会場構成になっていました。以下、各章ごとに気になった作品をご紹介。
第Ⅰ章は「労働と人々」。左には路上で歯を抜かれている男と、それを取り囲む群衆が描かれています。当時は「歯の治療=歯を抜く」だったんですね。実はこの「抜歯屋」はヤブで、集団で男をダマそうとしている絵なのだそうです。
続いて第Ⅱ章「日常生活の寓意」。この絵は貴婦人が占われているシーンですが、周りの人が財布やニワトリをくすねようとしています。「占い師を信じるな」という教訓を示しているとのことですが、それより泥棒に注意したほうがよさそう。
第Ⅲ章は「雅なる情景」、男女の恋愛模様が描かれた、まるで昼ドラを観ているような絵が並びます。絵の題名も面白くて、左の絵は「不埒な集い」、右の絵は「陽気な集い」というタイトル。
個人的におすすめは第Ⅳ章「日常生活における自然」(動物好きなので)。狩りの様子が細かく描かれた絵は大迫力! 左はテレビでいえば100インチ相当の幅2m50cm。この臨場感は実際の絵を前にしないと味わえません。
左にはお風呂あがりの女性、右にはちょうど隠れていますがお尻丸出しの女性が。第Ⅴ章は「室内の女性」、風俗画には人前で見せない女性の姿もよく描かれたそう。ここにはティツィアーノの名画「鏡の前の女」も展示されていました!
最後の章は「アトリエの芸術家」。画家が自分たちの仕事の様子を描いた作品が集合、「ダヴィッドのアトリエ」など巨匠の職場も拝めます。最後は、在りし日のルーヴル美術館を描いた絵で締めくくられていました。
今回、ルーヴル美術館の名画をたっぷり鑑賞できただけでなく、人間ドラマが詰まった「風俗画」自体の面白さも堪能。観賞後、ポストカードを購入しましたが、実際のサイズで細部までじっくり観てこそ楽しめるんだな、と再確認。
ちなみに、掲載写真は内覧会のときのもので、会場内は撮影禁止ですのでご注意を。フェルメール「天文学者」に、レンブラント「聖家族、または指物師の家族」、シャルダン「買い物帰りの召使い」などなど......。教科書にも載っている貴重な名画を、ぜひ鑑賞してみてください。
編集部 飯塚
Information
「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」
会場:国立新美術館 企画展示室1E
会期:2月21日(土)~6月1日(月)10:00~18:00
※火曜休館(5月5・26日は開館)
※金曜、5月23・24・30・31日は20:00まで、4月25日は22:00まで
入場料:一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円、中学生以下無料
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/louvre2015/