毎年恒例、一夜限りのアートの響宴「六本木アートナイト」が今年も開催されます! 6回目を迎える今回は、アーティスティックディレクター・日比野克彦さんに加えてメディアアートディレクターに齋藤精一さんを迎え、新たな試みも取り入れていくそう。そのひとつが、一般からプログラムを募集する「オープン・コール・プロジェクト」。1月22日に開催された、公開プレゼンテーションの様子をレポートします。
「オープン・コール・プロジェクト」への応募は、全86作品。この日は、その中から一次審査で選ばれた10作品の企画者が、持ち時間6分間でプレゼンテーションを行いました。審査員は、六本木アートナイト実行委員長の南條史生さん、日比野さん、齋藤さんの3名。ここでは、未来会議編集部が注目したいくつかの作品をご紹介します!
まずはアバンギャルドなコスチュームで登場した、トムスマ・オルタナティブさんによる「てのり湯。六根」。小気味よいプレゼンテーションに、観客からはたびたび笑いが。世界観や設定が独特で完全には理解しきれなかったのですが、「てのりごちさん。」という人型のミニフィギュアを愛でながらお茶とお菓子をいただく、茶道にインスパイアされた儀式のようなもの、ということです。
実際に、審査員にも「てのりごちさん。」と地球型のお茶菓子が振る舞われました。3名の食いつきもなかなかのもの。
「参加型のイベントっていうことでいいのかな?」「お茶やお菓子をいただいて、踊ったりするっていうこと?」「屋内でやるとして、広さはどのくらい必要なの?」などなど、質問が相次ぐ中で持ち時間が終了しました。
こちらは、工事現場にある「カラーコーン」を使ったインスタレーション「KAWAT Tower(カワッタワー)」を提案した、現役大学生のおかだゆかさん。どこにでもあるものを作品にした点に"レディメイド"としての側面があることから、この作品をアートへの入り口にすることが狙いだそう。おかださんは「雨風に打たれてもがんばってる。カラーコーンには魅力があるんです!」と力説。
「(その気持ちには)共感できます(笑)」と南條さん、「僕も工事現場のLEDに萌えます(笑)」と齋藤さん。「大学1年生の頃からカラーコーンが大好きで、撮影し続けていて......」という初々しい言葉に、審査員のみなさん、なんだかうれしそう。
こちら、スイッチ総研の「六本木アートナイトスイッチ」は、いわく"オール人力インタラクティブメディアアート"。指示どおりのことをするとスイッチが入り「何か」が起こるという作品です。論より証拠ということで、審査員3名が実演してみることに。
壇上に用意されていたのは、土鍋に太鼓、虫眼鏡。そのうち「虫眼鏡で覗いてください」と書かれた台の前で、日比野さんが指示どおりにしてみると、その瞬間......。
「おい、山田こっちに来い! 証拠はあがってるんだ!」と、客席で突然、刑事ドラマの逮捕の瞬間のような寸劇が発生。「(ここに小さく)『真犯人は山田』って書いてある」と日比野さん。これには審査員のみなさんも会場も大爆笑。
そのほか、大畑周平さんによる「火を食べる」という衝撃的なコンセプトの作品「リュミエール」や......。
歌って踊ってのプレゼンに「もはやプロのパフォーマンス!」と絶賛されたズンマチャンゴの「ズンマチャンゴのかけら箱」などなど、全10作品のプレゼンテーションがあっという間に終了。
最後は、齋藤さんのこんなコメントで締めくくられました。
「僕自身も昔、日比野さんに作品を批評していただいたところからスタートしているんです。今回の公募企画、すごくいいなと思いました。そしてみなさん、プレゼンがすごく上手。こういう人たちにどんどん参加してもらって、一般市民も外国人も巻き込まれるようなイベントにできるようにがんばっています。六本木アートナイト、よろしくお願いします!」
なお、ここでは紹介しきれなかった作品は次のとおり。
・飯島浩二さん「∞Turtles」
・女の子には内緒「さよならレディ、声を聞かせて」
・杉田モモさん「結びつく街-インタラクティブ・レゴ・アート・プロジェクト Web City-Interactive LEGO Art Project」
・髙木公美子さん「女子の標本」
・深澤孝史さん「六本木神社 厄払開運祈願祭-TOKUINO BANK ROPPONGI-」
審査結果は、近日発表予定とのこと。どれも、実際に観てみたいと思わせる作品ばかり。果たしてどれが選ばれるのか、ぜひ公式ウェブサイトをチェックしてみてくださいね。
http://www.roppongiartnight.com
編集部 飯塚