六本木エリアのギャラリーを編集部スタッフの目線で紹介する「六本木ギャラリー探訪」。今回訪れた「ZEN FOTO GALLERY」は、2009年にオープンした日本や中国の写真を専門的に紹介するギャラリー。ここ六本木には2011年に移転してきたそうです。
こちらが入っているのは、六本木ヒルズそばのピラミデビル。六本木デザイン&アートツアーでも訪れた、"ギャラリーコンプレックス"です。
こんにちは、と中に入ると、出迎えてくれたのはマネージャーのアマンダさん。台湾出身で、日本の大学を出たあとにオーナーのマーク・ピアソンさんと出会い、お2人でこちらを運営しているのだそう。
「ZEN FOTO GALLERYは日本や中国などアジアの写真を中心に扱っていて、そのカルチャーを海外に発信することを目指しています。六本木はエキゾチックな文化が好きな人も多いですし、外国人のビジターもたくさんいます。観光や出張で日本に来た外国人がアート作品を探しに来ることも多いんですよ」
「私たちは『shashasha(写々者)』という日本の写真集を扱うウェブ書店も運営しています。ギャラリーのウェブサイトもそうですが、英語でも書かれているので、ウェブで知って来ていただく海外の方も多いですね。イギリス出身のマークの目と、台湾出身の私の目で選んだ日本や中国の写真を紹介しているからか、海外の人は共感というか、反応してくれるんです」
「森山大道さん、荒木経惟さんの作品は以前からヨーロッパで人気がありますが、最近はとくに日本の写真への関心が高まっています。70年代の写真集を探しているブックディーラーやプリントを欲しがるコレクターも増えてきました。実はもともとマーク自身もコレクターで、仲良くなったギャラリーの友人にすすめられたのが、ここをはじめたきっかけ(笑)。私も将来的にギャラリースペースを持ちたいという目標があって、マークと出会ってからずっと、2人で運営してきました」
「今やっているのは、須田一政さんの『釜ヶ崎』という展示。須田さんも、東京の下町で撮ったストリートスナップで知られていて、海外のコレクターから注目されています。でも、今回の題材は大阪の釜ヶ崎、労働者の集まる街を撮ったシリーズなので、これまでの作品とは雰囲気が違う。ZEN FOTO GALLERYでは、有名な作家さんでも、あまり知られていない面を伝えていきたいんです。とはいえ、もちろん須田さんらしいモチーフも散りばめていますよ。本人が脚フェチなので、女性の脚とかね(笑)」
「見たことがない作品や、刺激的でインパクトのある作品を紹介するようにしているのは、有名作家でも新たに評価されたり、過去の作品が再評価される機会になるから。取り上げる写真家をマークが選んで、私が写真展を企画したり、写真集をつくったりします。どの作家の個性も違っているので、毎回ゼロからつくっていくのが楽しいんです。コマーシャルギャラリーというより、プライベートギャラリーに近いのかな? お客さんにも気軽に話しかけますし(笑)。もちろん取り扱い作家の作品はご購入いただけますよ! 額装のご相談も」
最後に、「六本木をアートとデザインの街にしていくには?」と、いつもの質問をしてみました。すると、しばらく考えたあと、こんな答えが。
「今のままでいいんじゃないですか。六本木アートトライアングルは浸透していると思うし、私自身10年前から知っていて、個人ブログでも紹介していたんですよ。最近は新しいギャラリーもできてきて、これからもっと人が遊びにくるんじゃないでしょうか。......私は用事がないとあまり来ないですけど(笑)」
お話し中、アマンダさんがいろいろな写真集を見せてくれました。戦後間もない頃の日本の風景などをあらためて見ると、自分のルーツを眺めているような不思議な気分に。アマンダさんの上手な日本語での解説も楽しく、つい長居してしまいました。2月28日(土)には、須田一政さんのトークショーが開催されるとのこと。みなさんもぜひ訪れてみては?
編集部 飯塚
information
「ZEN FOTO GALLERY」
住所:東京都港区六本木6-6-9ピラミデビル208号室
TEL:080-4652-7058
開廊時間:12:00~19:00
休廊日:日曜・月曜・祝日
http://www.zen-foto.jp/