アントニ・ガウディ ≪大学講:横断面≫ 1877年10月22日 (c)Catedra Gaudi
現在六本木ヒルズ森タワー52F、森アーツセンターギャラリーでは、スペインを代表する建築家、アントニ・ガウディと日本を代表する漫画家、井上雄彦さんのコラボレーションが実現した展覧会「特別展 ガウディ×井上雄彦 --シンクロする創造の源泉--」が開催されています。
国内発行部数が1億部を超える『SLAM DUNK』や『バガボンド』『リアル』など、国民的な人気漫画を生み出した井上雄彦さんのファンはとても多いはず。そして、今回のコラボレーション相手がガウディ、ということで、始まる前から、いったいどのような展覧会になるのだろう、ととても楽しみにしていた本展。
その内容を一番凝縮しているな、と感じたのは、展覧会の英語タイトル『Takehiko Inoue interprets Gaudi's Universe』。"井上雄彦が解釈するガウディの世界観"とでも訳せると思いますが、まさに、井上さんがガウディの一生を描き解いていく、そんな内容になっています。
内覧会でインタビューを受ける井上雄彦氏
入ってすぐの作品は、モーショングラフィックとも言える、井上雄彦さんのイラストがガウディの珠玉の言葉とともに語りだす、映像作品。ここが入口となり、いよいよ展覧会の始まりです。
まずは第1章。
ガウディの幼少年期と、バルセロナでの学生時代、そして卒業後の無名の建築家時代が、関連作品や資料とともに紹介されています。
第1章の展示風景。中央は≪バルセロナ大聖堂大正面計画案≫
「偉大な本、常に開かれ、努力して読むに値する本、それは、大自然の本である」 by アントニ・ガウディ
井上雄彦 ≪トネット≫ 2013年 (c)I.T.Planning
幼少期のガウディは、持病のリウマチにより、遊び回ることができず、よくじっと自然を観察するようになり、それが後々ガウディ建築の原点となっていった過程をたどることができます。卒業設計の建築家認定試験のための図面など、それだけでもかなりの見応えです。
そして第2章。
カサ・ミラやグエル公園など、ガウディの建築家としての黄金期の代表作を中心に、建築資料とあわせて、家具やデザイン・パーツなど多様な作品が紹介されています。
第2章展示風景
カサ・カルベート:ベンチ(手前)、カルベート氏執務室肘掛椅子(奥)
「創造性とは起源に戻ることである」 by アントニ・ガウディ
1878年に建築家の資格が授与されたガウディですが、同年に開催されたパリ万博博覧会にて出展していた作品が新興ブルジョワであったアウゼビ・グエイの目にとまり、その後、グエイのもとで、多くの建築を手がけることになります。実際にその建築空間にはいっていっているような感覚になる展示手法をここではお楽しみいただけます。
カサ・ミラ石膏模型
床には、カサ・バトリョとカサ・ミラの六角形の床タイルに仕掛けがしてある。
最後に第3章。
ガウディの集大成ともなった、サクラダ・ファミリア聖堂に焦点をあてている章です。
≪サクラダ・ファミリア聖堂模型≫
「神は完成をお急ぎではない」 by アントニ・ガウディ
というガウディの言葉にあるように、サクラダ・ファミリア聖堂は現在も建設が続いています。その建設の歴史と発展を動画や写真などを中心に紹介している章ですが、実際にサクラダ・ファミリア聖堂が迫ってくるような、そんな展示内容となっています。
第3章展示風景
今回の展覧会に先駆けて、井上さんが初めてガウディに深く関わったのは、2011年5月。そして、今回の展覧会のために、本格的に、2014年2月に1度スペインに渡り、4月の1か月間は、サクラダ・ファミリア聖堂の目の前のアパートに滞在し、カサ・ミラの一室にアトリエを構えて、制作活動をすすめたという。
是非、井上雄彦さんが紡ぐ、ガウディの人生、そして、建築作品を見に、六本木を訪れてほしい。展覧会は9月7日(日)まで。
編集部 井上
※展覧会に行く前に、是非、公式サイト(www.gaudinoue.com)をご覧ください。展覧会の見どころポイントや作品解説等、見どころ満載です。
【展覧会概要】
タイトル:特別展 ガウディ×井上雄彦 -シンクロする創造の源泉-
会期:2014年7月12日(土)〜 9月7日(日)※会期中 無休
開館時間:午前10時〜午後8時(最終入場 午後7時半)
会場:森アーツセンターギャラリー(東京・六本木ヒルズ 森タワー 52F) 東京都港区六本木6-10-1
入場料:一般・大学生/1800円 中学・高校生/1300円 4歳〜小学生/800円
お問い合わせ:0570-063-050(10:00〜20:00)ローソンチケット内
公式サイト:www.gaudinoue.com
Facebook:https://www.facebook.com/gaudinoue
★巡回情報★
♦金沢 金沢21世紀美術館:2014年10月4日(土)〜 11/5(水)
♦長崎 長崎県美術館:2014年12月20日(土)〜 2015年3月8日(日)
♦神戸 兵庫県立美術館:2015年3月21日(土)〜 5月24日(日)
♦仙台 せんだいメディアテーク:2015年6月3日(水)〜 7月12日(日)