六本木の街に点在する、数々のパブリックアート。クリエイターインタビューで吉岡徳仁さんが腰掛けている自身の作品「雨に消える椅子」など、その中には実際に座れる「ストリートファニチャー」と呼ばれる作品が多数あります。
前回に引き続き、けやき坂に設置されているストリートファニチャーの座り心地を、真面目にレポートしていきたいと思います!
座ってみるとタイトルを実感
日比野克彦「この大きな石は何処から転がってきたのだろう?
この川の水はどこまで流れていくのだろう?
僕はこれから何処へいくのだろう?」
丸みを帯びた岩を思わせる作品ですが、これも立派なストリートファニチャー。その証拠に(?)、実際に座ってみると、どこに腰掛けてみても体にフィットする感覚があります。
さすがに窪みに体を入れるのは無理がありますが......
ほとんど全方位的にさりげなく居場所が用意されている、そんな感じを受けました。端から端まで座れそうな場所に次々と腰掛けてみると、タイトル通り「僕はこれから何処へいくのだろう?」と、ちょっとポエティックな気分に......。
おそらく10人は同時に座ることができるこちらの作品、大自然を前にしたときと同じように、自分の存在をふと省みるような気持ちにさせてくれます。
自分を見つめ直せる度:★★★★★
和の趣を感じさせる
伊東豊雄「波紋」
テレビ朝日への入り口の真向かいにあるこちらの作品は、水面をイメージしたものだそう。キッチリ水平がとられていて、坂道に設けられているために部分的に高低差があります。坂下側は普通に腰掛けられる高さで、休憩や待ち合わせに使っても違和感がありません。
坂上側は、脚を伸ばすとちょうどいい感じ。座面が広いため、座るといやがおうでも水平を意識してしまいます。
座面の波紋模様が醸し出す雰囲気のせいか、水平かつ四角いフォルムから受ける折り目正しさのせいか、座り方を試行錯誤しているうちに、最終的には正座がベストと判断。この広い座面で正座をすると妙に落ち着いた気持ちに......。和風が好きな人におすすめです。
和テイスト度:★★★★★
遊びを喚起するフォルム
カリム・ラシッド「ス・ケープ」
最後はこちら、現代アートっぽいというか、公園の遊具にありそうというか、流線型の巨大なオブジェ型ストリートファニチャーです。有機的なフォルムはさまざまな座り方の可能性を感じさせますが、向かって右側はいたって自然な座り心地でした。
続いて、気になっていた真ん中の空洞部分の座り心地を確かめようと、人目もはばからずに潜り込んでいると......
そばを通りがかった外国人のお子さんが、吸い込まれるようにこの作品で遊びはじめました(笑)。
子どもたちの邪魔をするわけにはいかないので、座り心地のチェックはここで断念。私も童心に返ったような気持ちで空洞に入りましたが、子どもたちも夢中! きっと好奇心を刺激する形状なんでしょうね。
童心に返れる度:★★★★★
今回紹介した以外にも、まだまだあるストリートファニチャー。アート作品に自由に触れられる機会はそうそうありません。ぜひみなさんも、六本木に来たときには実際に腰掛けてみてくださいね!
編集部 飯塚