東京ミッドタウン地下1階の、空洞のある大きな大理石「意心帰」や、六本木ヒルズの入り口にある巨大なクモ型のオブジェ「ママン」など、六本木の街には数多くのパブリックアートがあります。
昨年の10月に行われたデザイン&アートツアー「六本木パブリックアート巡り」では、それら六本木の街や施設内にある作品群を巡ったのですが、そこで知ったのは、パブリックアートは触って楽しめるものだということ。
ってことは、六本木けやき坂通りに点在している「ストリートファニチャー」と呼ばれるイスやベンチにも、実際に座っていいんですか!?(写真も普通のベンチのようで、実はアート作品!)
そこで先日、六本木未来会議のカメラマン、鍵岡龍門さんに手伝ってもらい、けやき坂のストリートファニチャーに座ってみることに。今回は、その中から3つの作品の座り心地(笑)を真剣にレポートしたいと思います!
アイビー茂る、景観に溶け込むオブジェ
ロン・アラッド「エバーグリーン?」
けやき坂の入り口、TSUTAYA TOKYO ROPPONGI前の広場にある作品。24本のブロンズパイプが無限のループの形に束ねられ、そこにアイビーが絡んで街の風景に溶け込んでいます。パッと見、これがストリートファニチャーだということに気づかない人も多いのではないでしょうか。
パイプが円筒状に束ねられた座面(?)は、しっかりと座るというよりも、ちょっと腰掛けるのにちょうどいい感じ。いろいろな座り方を試してみたところ、個人的にとても気持ちよかったのが仰向けになるスタイルでした。
寝転んでみると、目の前にはこんな風景が広がります。
青空のもと、生い茂るアイビーの葉が目前に広がり、まるでハンモックで寝ているような心地よさ。タイトルの通り、都心にいながら自然に包まれている感覚が楽しめる作品です。
自然との一体感:★★★★★
ちょっとだけプライベートな空間
アンドレア・ブランジ「アーチ」
けやき坂を少し上ったところにあるこちらの作品。真ん中にあるのはテーブルでしょうか。壁にはイス、天井からはランプが吊り下がっているように見えます。ファニチャーというより、部屋そのものといった感じ。
坂の途中にあるため、普通に腰掛けると"床"に座る形に。とはいえ、高さがちょうどよく、ちゃんと計算されているように感じました。
せっかくなので、"部屋の中"にも入ってみました。座ってパソコンを開いてみたところ、テーブルランプ(?)があるせいか、違和感なし。移動中、急に手帳やパソコンを開かなくてはいけない場合に便利そうです(そんなタイミングもあまりないでしょうけど)。
便利に使える度:★★★★★
有機的なぬくもりが心地よい
トーマス・サンデル「アンナの石」
けやき坂の通りを挟んでTSUTAYA TOKYO ROPPONGIの向かいにある、コーヒー豆のような形の作品です。交差点の角に配置されていて、待ち合わせ場所として実際に腰掛けている人を見ることも多い気がします。
こちらの作品は、波に洗われて角のとれた小石をイメージしているそう。どこか自然物のぬくもりを感じられる形状は、寝転んでみるとより一体感を感じることができました。ここなら、待ち合わせ時に待ちぼうけをくっても、イライラせずに済みそう。
待ち合わせスポット度:★★★★★
パブリックアートには、美術館などにある、目で鑑賞するアート作品とはまた違った楽しみ方があります。今回紹介した3つは、六本木にあるパブリックアートのほんの一部。六本木を訪れた際には、恥ずかしがらず、実際に座ってみることを強くおすすめします!
編集部 飯塚