先日、六本木交差点近くにある「俳優座劇場」にお邪魔してきました。というのも、昨年12月に実施した「おいしいデザイン散歩」ツアーのコースに予定されていたものの、時間の都合で外観だけしか見ることができなかったから。ブックディレクターの幅允孝さんがおすすめするスポット、気になりますよね。
この俳優座劇場が建設されたのは1954年、昭和29年のこと。今年で創立60周年を迎える、老舗中の老舗と言っていい劇場なのです。
訪れた日は公演の合間で舞台稽古の最中でしたが、支配人の高木年治さんが特別に中を案内してくださいました。高木さんは、ここで演劇プロデューサーの仕事を長く続けてこられた方。
「建物ができた当時は、六本木で一番高いビルだったんですよ。当時は東京ミッドタウンも六本木ヒルズもありませんでしたから(笑)。上の階からは海も見えたんです。その後、1980年に改築して、現在の姿になりました。当時の建物の模型は今、ロビーに飾られています」
客席へと上がる階段の踊り場には、設立当時から飾られているギリシャ文字が書かれたレリーフが。台座の木は、古い建物の壁をそのまま利用したのだそう(「汝は人間である。つねにそのことを自覚して忘れるな」と書いてあります)。
劇場の中も少しだけ見せていただいたのですが、ちょうど舞台のセッティング中で、どこか現実離れした不思議な臨場感。座席数を少なく抑え、最後列からも演者と同じくらいの目の高さで観劇できるつくりにしてあるそうで、採算を重要視しないで、演劇を見るのに最適な空間になっていると教えてくれました。
ちなみに、劇場はお隣の英国風パブ「HUB」(ここが東京の第1号店だそう!)とつながっていて、観劇したあとに一杯飲みながら語り合うことも可能です。チケットがあると割引サービスが受けられますが、HUBだけの利用も可能とのこと。
せっかくなので、私もフィッシュ&チップスとビールを注文。飲みながら、支配人の高木さんから聞いたお話を思い出していました。
「六本木はアートとデザインの街を目指していますが、俳優座劇場も同じように、オープン当初から六本木に文化を、という想いがありました。今も連日のように公演を行い、熱心なお客さんに来ていただいています。互いの熱意がせめぎあうことで観る側も演じる側も成長して、芸術を発信していく。そんな場であり続けたいですね」
劇団俳優座では、1/16(木)から26(日)まで「東海道四谷怪談」を上演中。六本木の歴史を肌で感じながら、観劇を楽しんでみては?
「俳優座劇場」
住所:東京都港区六本木4-9-2
TEL:03-3470-2880
URL:http://www.haiyuzagekijou.co.jp/
「HUB六本木店」
住所:東京都港区六本木4-9-2 俳優座ビル内1F
TEL:03-3478-0414
営業時間:17:00~23:30(月~土)、17:00~23:00(日)
定休日:無休
URL:http://www.pub-hub.com/
編集部 飯塚