天人が六本木にやってきた!!
現在修理中の国宝 平等院鳳凰堂が、2014年春に落慶を迎えられます。これを記念して企画をされた今回の展示は、初めて寺外で公開となる国宝も多く、間近で名宝を堪能できるめったとない機会。神社仏閣ファンでなくても必見です!
古くから人間は空を飛ぶことを夢見てきました。ハングライダーから飛行機にロケットまで、現代ではさまざまな方法でそれが実現されてきましたが、誰もなしえなかったこと。
それは、機材も道具も使わずに空(天)を舞うこと。
優雅に舞う様々な飛天の姿を間近でじっくり見ていると、本当にその華やかさと軽やかなにうっとりします。
さて、皆さんは「飛天」というと、何をイメージしますか?
私は、「天女」のような、空から舞い降りる女性をイメージしていました。実は飛天とは、仏の存在を讃えて空を舞い降りる天人のことで、阿弥陀如来坐像など、仏像の背後を飾る光背の中にいるのです。恥ずかしながら、私はこの光背を炎をイメージした装飾なのかと思っておりました......。確かに阿弥陀如来坐像の背後をじっくりと見ると、様々な天人が楽器を持って優雅に踊っています。表情も姿も一つ一つ違い、同じものはありません。
展示は第1章、仏教が生まれたインドから中国までの作例を概観することから始まります。
ガンダーラの浮彫の菩薩にも、じっくり見ると飛天の姿が。その姿はとても優雅に飛べそうにないものもありますが...(苦笑)。
第2章では、いよいよ平安時代からの日本の浄土図や荘厳具類における飛天の登場です。
鎌倉時代の飛天光背残欠では、左右対称の12体の飛天をみることができます。こうして光背だけの展示をみると、普段は菩薩の姿ばかりを見ていた視点も大きく変わり、ますます飛天の全体像が浮き彫りになってきました。少し女性的な表情に見えたのは私だけでしょうか?是非皆さんもじっくり見てみてください。
私が面白いと思ったのはこの先の展示「露盤羽目板」というもので、飛天の文様が孔雀でできています。
天人は人ではなかったのか、はたまた天人になる前の飛天の姿なのか...と思ってしまいましたが、孔雀は浄土の表現として、よく用いられるそうです。古人の創りだす世界は本当に不思議なものです。
いよいよ展示は第3章へ。様々な飛天の彫刻が、館内を飛んでいます。姿も形も様々。
リズミカルな姿を、じっくりと堪能いただくことをお勧めします。
彫刻の展示内にはライトがあたる陰影が美しく、時に揺れる姿が本当に天を舞うようです。
寺外で鑑賞できるのは初となる、国宝「阿弥陀如来坐像光背飛天」もこのエリアにありますので、お見逃しなく。
平等院鳳凰堂の落慶の前に東京で見ることができるのはサントリー美術館だけ。その優雅な姿を是非ご覧ください。
※会期中展示替えあり。
【編集部 増田】
サントリー美術館 平等院鳳凰堂平成修理完成記念 天上の舞 飛天の美
会期
2013年11月23日(土・祝)~2014年1月13日(月・祝)10:00~18:00
※金・土、および12月22日(日)、2014年1月12日(日)は20:00まで開館。12月27日(金)、28日(土)は年末のため18:00で閉館
休館日
火曜日(1月7日(火)は開館)、12月30日(月)~2014年1月1日(水)
入館料
一般1,300円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料
お問い合わせ先
サントリー美術館
TEL. 03-3479-8600
URL http://suntory.jp/SMA/