駅前にある不思議な形のオブジェや、公園に置かれた銅像。街なかにあるアートは、なんとなく目には入っているものの、ふだん通り過ぎてしまうだけという人も多いのでは? 秋の気配が漂い出した9月9日の夜、そんな六本木の「パブリックアート」を巡る、読者参加型ツアーが開催されました。
ガイド役は、東京ミッドタウンのパブリックアートをプロデュースした清水敏男さんと、建築やアート、デザインのジャンルを中心に活躍するライターの青野尚子さん。参加者のみなさんは、お二人のアート濃度の高い軽妙なトークを聞きながら、街に点在するパブリックアートを鑑賞したり、さわったり、作品の中をくぐったり(!)、存分に堪能していました。
清水さんと青野さんが話してくれたのは、作品の背景や意図から、制作の経緯や作者の人柄まで。さまざまエピソードに加え、「では、ここでクイズです!」と、清水さんが参加者に話を振る場面もしばしば。夜の屋外という開放感もあり、まるで課外授業のような楽しいツアーになりました。
お二人によれば、「パブリックアート」という言葉が日本で一般的に知られるようになったのは、1990年代のこと。それ以前にも彫刻を街づくりに活かそうという試みはあったものの、ただ街なかにポンと置いただけで、"彫刻公害"などと言われることもあったとか。
現在の六本木には、東京ミッドタウンの入り口にある、ぽっかり穴の空いたブロンズ彫刻「妙夢」や、六本木ヒルズにある巨大な蜘蛛を模した「ママン」など、"デザインとアートの街"を象徴する多くの作品が、街に違和感なく溶け込んでいます。
話を聞きながら眺めてみると、こんなところにも作品があったんだとか、こんな素材でできているんだ、この作品にはこういう意図があるんだ......などなど、驚きや発見の連続。六本木が身近にアートに触れられる街だということに、あらためて気づきました。
お二人のお話やツアーの様子は、近日公開の記事で再現します。きっともう、パブリックアートの前を素通りできなくなりますよ!
編集部 飯塚