六本木のアートイベントと言えば、何をおいても外せないのが六本木アートナイトではないでしょうか?今年も3月23日(土)、24日(日)の開催に向けてアーティスティックディレクターの日比野克彦さんのディレクションの元に、着々と準備が進んでいます。
今回は、アートナイトに関わっている編集部スタッフが、プロジェクトの一環で日比野さんと共に陸前高田市に行き、塩害杉から炭を作るツアーに参加してきましたので、その一端をレポートします!
このバスに乗り込み一ノ関から陸前高田へ向かいます!
今回参加した≪TRIP→プロジェクト≫は、日比野さんが巨大な"灯台"のモニュメントを作成し、東日本大震災で被災した陸前高田の塩害杉の炭で火を灯しアートナイトのシンボルとする、というもの。その、炭をアートナイトに関わる地域の各施設のメンバーで作成してきました。
東京駅を出発し、一ノ関駅から更にバスに揺られること計4時間。田んぼや住宅地だった内陸部の風景が徐々に変化し、震災の後が残る陸前高田の沿岸部が現れました。
一同はまず少し高台にある、陸前高田市役所へ。今回このプロジェクトでお世話になる陸前高田市役所の皆様にご挨拶をし、お話を伺いました。
ご対応いただいた久保田副市長によると、復興は2年たった今でもまだまだ手がついたばかりで、やっと高台の造成工事が始まったばかりであること。そんな状況の中、被災地以外では震災の記憶が忘却されかけている現状があるとの事でした。その様な中、少しでも被災地の事を考え、アートで取り上げるこのプロジェクトの成功を祈っている、とのありがたい言葉もいただき、参加者全員、気持ちが引き締まりました。
その後、市役所の方の案内で塩害を受けた杉林へ。いよいよ、炭作りがスタートします。
小雪のチラつく中、日比野さんが自らチェーンソーを持ち、杉を伐採していきます。大きな杉が倒れる時には、あまりの迫力に周りから歓声?悲鳴?ともとれる声が上がります。
ちなみに、塩害杉とは津波で土と根が海水に浸かり枯れてしまった杉のこと。一見、健康そうな杉に見えますが、立ったまま枯れてしまっており、建材などには利用できないそうです。塩害杉は震災がれきとして伐採する必要があるとの事で、今回切り出した一帯の林でも作業が進んでいました。
伐採後、一同は炭焼き小屋へ。丸太にした木は、さらに細かくカットし炭の窯に詰める大きさにしていきます。このあたりから、吹雪が吹き始めました。
丸太を小さくカットしていきます
カットしたら、杉を窯までみんなで運び、ぎっしりと窯の中に詰めていきます。
奥からきっちり詰めないと良い炭が出来ないそうで、なんと、窯の中には日比野さん自ら入り、薪を詰めています。
そして、氷点下4℃の中、薪を詰めること約4時間。感動の瞬間がやってきました。
入り口まできっちり杉の木が詰まった窯に、火を入れます。火はこの後、4日程燃え続け、その後冷やす時間なども入れて2週間程で炭として完成するそうです。
最後はどんな炭ができるか、出来上がりを楽しみにメンバー全員で焚き火で温まりました。
今回作った炭は、アートナイトの夜に、六本木ヒルズアリーナに設置される「灯台」に灯されますのでぜひ見に来てください。
編集部H